順当?それとも波乱?2019年賞レースシーズンの締めくくり - 第91回アカデミー賞
遂に今季の映画賞を締めくくるオスカーが終了した。なかなか面白い結果になったので、色々すっ飛ばして早速特集したい。ノミネート解説はこちら。
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筆者の授賞式前予想
当たるかわかんないオスカー予想☞
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) February 24, 2019
作品賞/外国語映画賞-ROMA/ローマ
監督賞-アルフォンソ・キュアロン
男優-主演:ラミ・マレック、助演:マハーシャラ・アリ
女優-主演:グレン・クローズ、助演:レジーナ・キング
ボラプが音響編集/録音/編集のどれか
脚色賞-ビール・ストリートの恋人たち
まだ当確いくつか考えてたのに忘れてた
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) February 24, 2019
衣装デザイン-サンディ・パウエル、多分『女王陛下のお気に入り』
主題歌賞-『シャロウ』(アリー/スター誕生)
長編アニメ-スパイダーバース
あとは撮影賞1番注目してるかも
意外と当ててる……?
部門別
以下はプリンタブルリストの順に沿って紹介する。作品紹介が欲しい方はどうぞノミネート記事へ。
毎年お馴染みシネマトゥデイ(かなり見やすい!):2019年 第91回アカデミー賞特集 前哨戦星取表:第91回アカデミー賞 - シネマトゥデイ
主演男優賞
👑💜ラミ・マレック、『ボヘミアン・ラプソディ』
#Oscars Moment: @ItsRamiMalek accepts Oscar for Best Actor In A Leading Role for his portrayal in @BoRhapMovie. pic.twitter.com/PwmrYI35WN
— The Academy (@TheAcademy) February 25, 2019
GG賞を獲った時も、BAFTAを押さえた時も恐る恐るだったけれど、やっとこの結果が言えて嬉しい。ラミ、おめでとう!
クリスチャン・ベール、ブラッドリー・クーパー、ウィレム・デフォー、ヴィゴ・モーテンセンという大混戦ぶりを、ラミ・マレックが制した。マレックは折に触れフレディ・マーキュリーと共に歩んだ道のりだということを強調していたが、彼の演技あってこそというのは間違い無いし、何より座長として映画を引っ張ったことも評価されての受賞だと思う。
アカデミー賞2019 ラミ・マレックの感動スピーチ「明らかに主演をはる人間ではなかったかもしれませんが、大きな作品に関わることができました……自分の声を見出そうとした(フレディは)ゲイで移民でも自分らしく生きようとした、その物語を共有できた。エジプト系米国人の私の物語も語れたのです」 pic.twitter.com/gn5S51geyn
— ELLE Cinema Japan (@ellecinemajapan) February 25, 2019
大好きなルーシー・ボイントン、そしてボラプボーイズが自分のことのように大喜びなのを見ているのは幸せなものがあった。ボーイズはこれで終わりだなんて耐えられないと話していたようだが、わたしもそうなので、是非モンティ・パイソンみたいに演劇ユニットを組んで欲しいと思う限りである。勿論アレン・リーチも一緒だよ!
オスカーのレッドカーペットにて、「これが旅の終わりだなんて耐えられない、できる限り続けなきゃ」とグウィリムさん、会場に向かう車中でグウィリムさんがお兄さんに電話で明日発つと話すのを聞いて"これで本当に終わりなんだ…"と全員胸にこたえた、とアレンさん。寂しい…https://t.co/fYDOq5e7KU
— すなお (@Svnao) February 25, 2019
Party time! Excellent! #MikeMyers and #DanaCarvey present Bohemian Rhapsody at this year's #Oscars. pic.twitter.com/rTUImaa0tk
— Bohemian Rhapsody (@BoRhapMovie) February 25, 2019
助演男優賞
👑マハーシャラ・アリ、『グリーンブック』
前評通り大人しく『グリーンブック』のマハーシャラ・アリが獲得。助演男優賞2回獲得は、黒人初の快挙だという。そもそも受賞した黒人俳優というのがとても少ないのだが……
アカデミーの前哨戦をほとんど全て獲得し、オスカーにはかなり早くから当確が付いていた印象だが、それでも彼が2度目の栄誉を手にするのは嬉しいものがある。『ムーンライト』組は、バリー・ジェンキンス監督も『ビール・ストリートの恋人たち』で今年の賞レースを沸かせており、あの作品で心動かされた筆者としては嬉しい限りだ。
主演女優賞
筆者が1番泣いたのはこれかもしれない。直前の結果を見る限りグレン・クローズに有利な展開だったので、彼女が7度目の正直を達成するかと思っていたが(勿論それに値するキャリアと演技力を持つ人物である)、心底応援していたのはコールマンの方だったので、涙涙だ。というか書きながら泣いている。
Olivia Colman wins and calls out her “idol” Glenn Close at the #oscars: https://t.co/T3YCU1WzbB pic.twitter.com/Svr7Sr0T0q
— Hollywood Reporter (@THR) February 25, 2019
——「グレン・クローズ、あなたはわたしのアイドルなのよ」筆者はもうずっと泣きっぱなしである
今年は強敵揃いのノミネーションであった。コールマンもGG賞を獲得していたが、グレン・クローズはGG賞ドラマ部門(本命部門だ)とSAG賞を押さえていた。レディー・ガガも本格演技での映画出演はほぼ初ながら、SAG賞をクローズとタイ受賞している。この結果を見ていて、イギリスびいきの筆者としては、「ああこれ、年が違えばコールマン当確なのに、また去年のサリー・ホーキンズみたいになるのかなあ」と思ったのである*1。
The Queen's Speech.
— Sky Cinema (@SkyCinemaUK) February 25, 2019
Olivia Colman, we love you 🇬🇧 #Oscars pic.twitter.com/Sr6JuXZ3Nh
——コールシーン見たら泣いた、エマ嬢が本気で喜んでてスタオベまでしてるのにもっと泣いた、でもかつてここまで愛らしくて笑い声が上がるスピーチがあっただろうか(すき)(プレゼンターは昨年の覇者フランシス・マクドーマンド!)*2
この言葉、本当になってくれて涙が出るほど嬉しい。歳を取ってやっとキャリアが本調子になってきたコールマンだけに、新たな代表作である『女王陛下のお気に入り』で大評価されたことは筆者の中で1番嬉しいことなのである。
ところで筆者が誰を応援するかって? ガガも推したいけど、やっぱそこは『ホット・ファズ』オタクの英国マニアとして、オリヴィア・コールマンに決まってるでしょう!
第91回アカデミー賞ノミネート発表その1 - 『ROMA/ローマ』『女王陛下のお気に入り』一騎討ち - ちいさなねずみが映画を語る
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——『女王陛下のお気に入り』よりもっと下品なコールマンが観たい人はつべこべ言わずにこれ! 監督・脚本のエドガー・ライトもお祝いを!
So, so happy for Olivia.
— edgarwright (@edgarwright) February 25, 2019
ところで……メリッサ・マッカーシーはウサギ付きのローブで登壇したらしいけど……何かラジー賞獲ったらしいよね……(何とオスカーノミネートの『ある女流作家の罪と罰』出演で、「ラジー名誉挽回賞」まで受賞!(笑))
「女王陛下のお気に入り」アン女王と17匹のうさぎルックから一転して、夫婦でadidasのジャージに着替えてVanity Fairのオスカーパーティに繰り出すメリッサ・マッカーシーがもう好きすぎて好きなので好きです。 pic.twitter.com/C648j7OCzw
— ファ-子 (@fu_cco) February 25, 2019
190228追記)コールマンのスピーチ全文訳
フロントロウとBBCでスピーチの全文訳が出ていたのでシェア。ところで気付いてなかったけどプレゼンター、サム・ロックウェルだったのね……?(髪を剃って髭を生やしていたので分からなかった)
www.bbc.com - アッ!マクドーマンドがプレゼンターで思い出したけど来年もコールマン・マレックがオスカーに戻ってくる……!
助演女優賞
筆者の事前予想どおり『ビール・ストリートの恋人たち』のレジーナ・キングが獲得。何故かSAG賞・BAFTAでノミネート漏れしていたのだが、オスカーはきちんと受賞してくれてよかった。『ビール・ストリートの恋人たち』は、先述のバリー・ジェンキンスの新作にして、筆者が制作開始の噂時点から楽しみにしていた作品。この結果を見たら観るっきゃない!(何でこんな発言なのかというと、公開日すっかり忘れていた内に封切られていたのである)
そういやエイミー・アダムス姉さん、グレン・クローズも受賞を逃したので、お互い「無冠の女王」記録を伸ばすことになってしまった。毎回ノミネーションの巡り合わせが悪いのだろうなあ……ふたりがいつ受賞するのかもう楽しみになってしまっている。
長編アニメーション部門
日本関係の『未来のミライ』『犬ヶ島』がノミネートされていたこの部門だが、GG賞・BAFTA・アニー賞を制していた『スパイダーバース』が受賞した。
『スパイダーマン:スパイダーバース』アカデミー賞授賞式に収まらなかったスタン・リーへの謝辞があった#スパイダーバース #スパイダーマン #アカデミー賞 #Oscars2019 #Oscars @SpiderVerseJPhttps://t.co/WlNX6hr0a6
— THE RIVER (@the_river_jp) February 25, 2019
——筆者も読めてないので後で読む!
撮影賞
👑アルフォンソ・キュアロン、『ROMA/ローマ』
個人的に大注目だったこの部門は、同じく白黒映画の『COLD WAR あの歌、2つの心』、広角レンズを多用した『女王陛下のお気に入り』を押さえ、エマニュエル・ルベツキと袂を分かった形のクアロンが初受賞。
この分野には、『COLD WAR あの歌、2つの心』、"Never Look Away"(英題)/"Werk ohne Autor"(独題)、『ROMA/ローマ』と外国語映画賞が3作品ノミネートされていたことも特筆に値する。撮影技術というのは確かに言語の要らない技術ではあるが、技術系部門で、もっともっと非ハリウッド・非英語の作品が躍進してほしいと思わされた結果であった。(因みにもう1本は『アリー/スター誕生』)
衣装デザイン賞
👑ルース・カーター、『ブラックパンサー』
- メアリー・ゾフレス、『バスターのバラード』
- ルース・カーター、『ブラックパンサー』
- サンディ・パウエル、『女王陛下のお気に入り』
- サンディ・パウエル、『メリー・ポピンズ リターンズ』
- アレクサンドラ・バーン、『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』
BAFTAの結果を見ていて、ダブルノミニーだったサンディ・パウエルが『女王陛下のお気に入り』で受賞するんだとばかり思っていたが、やっぱりハリウッドは『ブラックパンサー』を讃えたかった様子である。
ノミネート記事には「アフリカの伝統衣装を見事にマッシュアップしたルース・E・カーターの仕事は賞賛されるべきだと思う」と書いていたので、彼女の仕事が評価されたことは単純に嬉しい話である。今回のノミネーションを見ると、どれも時代背景・民族文化がしっかりした作品ばかり並んでいるように思う。
監督賞、外国語映画賞
👑アルフォンソ・キュアロン、『ROMA/ローマ』
割と想像通りの結果である。逆に作品賞を逃した方が解せない感じがある。監督賞の作品別解説が読みたい人はノミネート記事をどうぞ。
キュアロンは作品賞の大本命と言われながら、外国語映画初の快挙を成し遂げることができなかった。今までの賞レースを見ていると、外国語映画ということは関係無く、ただクアロンが「メキシコの言葉で作ってしまった映画」という扱いをされていたように思うので、この結果は素直に驚きである。
この影にあると思われるのが、Netflixというプラットフォームへの根強い不信感だ。確かに『グリーンブック』はGG賞(外国語映画の『ROMA』に資格は無かった)、PGA賞、TIFF観客賞などを押さえていたが、直前のBAFTAを押さえていたし、ここにきてアカデミーが渋い判断をすると思っていた人は意外に少ないだろうと思う。セザール賞で『万引き家族』が外国語映画賞を獲得したのは、フランスという国の映画界がNetflixに対してかなり懐疑的だという事情があると思うが……オスカーでも同様の結果となり、まだまだNetflixへの風当たりは強いのだなあと感じさせられる所存である。
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190303追記)プレゼンターはあの人……!
先日のノミネート記事でもお伝えした通り、ここ数年はデイミアン・チャゼルの最年少受賞を挟んで、メキシコ人監督が押さえ続けているこの部門。プレゼンターになったのは、昨年苦戦が予想されたジャンルもののモンスター映画『シェイプ・オブ・ウォーター』で見事にこの部門を獲得したギレルモ・デル・トロ! クアロンとは同じメキシコ出身の盟友ということもあり、彼の受賞がとても嬉しそうな様子だった。「オスカーが渡るのは……」と述べて封筒の中を覗いた後、彼が口にした「この名前は発音できるな」"This name I can pronounce," というジョークにもご注目を。おめでとう!
編集賞、音響編集賞、録音賞
👑『ボヘミアン・ラプソディ』
事前予想で有力候補に挙げていたが、まさか3部門すべてかっさらうとは思っていなかったので素直に嬉しい結果である。筆者が事前記事で指摘していた通り、編集を担当したジョン・オットマンは、映画音楽の作曲を手掛けていたものの、クイーンの音楽をふんだんに使った作品の特徴上作曲賞ノミニーの資格を満たしていなかったので、功労賞的に編集賞を獲得した形だと思う。
残り2賞は、生活音をふんだんに使った『ROMA/ローマ』、同じく音楽映画の『アリー/スター誕生』などが控えており、流石に3部門全部は無いかなと思っていた。ブライアン・シンガーのスキャンダルがすっぱ抜かれたこともあり、作品賞には少々向かい風が吹いていたが、技術系の功労は素直に認められた様子で一安心。
ところで、去年はこの3賞が『ダンケルク』と『ベイビー・ドライバー』の一騎討ちで、全て『ダンケルク』がかっさらったのだが、AMPAS会員、何か技術系安直に投票してるとか無いよね?????(だとしたら技術系マニアの筆者は怒る)(何かキュアロンが「技術系」と呼ぶのは失礼だとか何だとか発言していたような……?)
メイクアップ・ヘアデザイン賞
👑『バイス』
スウェーデン映画の"Border"が異色のノミネートを見せたこの部門だが、獲得したのはクリスチャン・ベールとサム・ロックウェルを見事に化けさせた『バイス』チーム。GG賞の段階では「ノミニー確認中」になっていたという波乱もあったが、このチームは賞賛されるべきだと思っていたので素晴らしい結果だと思う。
作曲賞
👑ルートヴィッヒ・ヨーランソン(ルドウィグ・ゴランソン)、『ブラックパンサー』
デスプラが2年連続の候補入り、『ムーンライト』でもジェンキンスとタッグを組み、筆者の心を激しく揺さぶったニコラス・ブリテルが2年ぶりの候補入り、GG賞を獲得した『ファースト・マン』のハーウィッツがまさかの落選など、筆者が結果を随分気にしていた部門。結果としては『ブラックパンサー』で、北欧出身ながらアフリカ音楽と映画音楽を見事にマッシュアップさせたヨーランソンが獲得した。
そんなヨーランソン、THE RIVERさんの記事によると、こんな素晴らしいことをスピーチで話していた様子。オリヴィア・コールマンのくだりで涙腺が緩くなった筆者、このエピソードでも泣きそうになってしまったので、ちょっとシェアしたい。
授賞式においてルドウィグの名前を読み上げたのは、『ブラックパンサー』でエリック・キルモンガーを演じたマイケル・B・ジョーダンと、『クリード』シリーズのテッサ・トンプソンだった。壇上でルドウィグは、ライアンに「君との仕事を心から誇りに思います」と述べた。「12年前、USC(南カリフォルニア大学)の寮の部屋にいた時のことを思い出します。君の初めての短編映画で、僕は曲を書きました。12年経って、いま僕たちはこの場所に来ています」。
——マーベル映画『ブラックパンサー』アカデミー賞3部門獲得の衝撃 ─ ヒーロー映画史上最多受賞&ふたつの史上初受賞 | THE RIVER
190228追記) こんな一幕も(笑)
アカデミー賞でブラック・パンサーを紹介したトレバー・ノアが「コサ語では Abelungu abazi ubu ndiyaxokaという。一人よりも団結して戦ったほうが強い、という意味だ」と言って喝采を受ける。
— 堀 正岳 ////「知的生活の設計」 (@mehori) February 26, 2019
→ 本当の翻訳は「白人には僕が嘘をついているとわからない」さすがすぎる(笑)https://t.co/qoaLRpKwot
主題歌賞
👑「シャロウ」『アリー/スター誕生』
筆者が早めに当確を出しておいた「シャロウ」が順当に受賞。ケンドリック・ラマーの『オール・ザ・スターズ』、エミリー・ブラントが歌う「幸せのありか」など、その他も素晴らしい曲揃いではあったが、強敵揃いの賞レースで苦戦していた『アリー/スター誕生』チームに、この賞くらいは順当にあげてほしいという気があったので嬉しく思う。レディー・ガガは、持病の線維筋痛症悪化で暫く活動休止していたが、この曲で完全復帰という形になった。それだけに曲に込める思いは強く、彼女がこの曲での受賞で大泣きしてしまうのもよく分かる。
mice-cinemanami.hatenablog.com - えっ?「ガガ泣き」なんて絶対言いませんよ?
作品賞
👑『グリーンブック』
GG賞ミュージカル・コメディ部門を制していた『グリーンブック』が、大本命と言われていた『ROMA/ローマ』を押さえて受賞。何か「プロデューサー陣が白すぎない?」という揶揄まで飛んでる気がするが気のせいとしておこう。
Green Book? More like the White Pages pic.twitter.com/DjO2dmVnqH
— Ira (@ira) February 25, 2019
ファミリー映画から『ボヘミアン・ラプソディ』、スーパーヒーロー映画から『ブラックパンサー』がノミネートされたことでも大注目だったこの部門。今年の賞レースを沸かせた作品が、ほとんど漏れることなく順当に入っていて、それだけでも価値があるノミネートだったように思う。
190228追記) 一応シェア
スパイク・リーが「誰かが誰かのために運転してる映画が出ると俺は負けるんだ」とか何とか言ってた様子なのだが(『ドライビング・ミス・デイジー』とリーの『ドゥ・ザ・ライト・シング』の話)、やっぱりこういう話にはなっていたようである。
チャドウィック・ボーズマンさん、グリーンブックのオスカー作品賞受賞が発表され関係者が登壇した際に振り返って(呆れたように見える表情で)ブラックパンサー共演者のマイケル・B・ジョーダンさんとアイコンタクトをとり、MBJさんも反応してる様子https://t.co/P6OVSGzKPJpic.twitter.com/hZMvm1j6Xz
— すなお (@Svnao) February 27, 2019
190303更に追記
先日『グリーンブック』の作品賞受賞へ反対する意見を追記したが、何だかこの話フェアではないので、別視点のご意見を追記しておこうと思う。ネタ元は安心と信頼のTHE RIVERさん。
美術賞(プロダクション・デザイン賞)
👑『ブラックパンサー』
『女王陛下のお気に入り』、『ファースト・マン』、『メリー・ポピンズ リターンズ』、『ROMA/ローマ』といった並み居る強豪を押さえて受賞したのは『ブラックパンサー』。マーベル映画がこうやって美術賞を獲得すること自体なんか胸アツな気がする。(ちょっと疲れてきたのでコメントが適当だけど、内心では「ワカンダフォーエヴァー!」と叫んでいる)
視覚効果賞 (VFX)
👑『ファースト・マン』
賞レースで大苦戦していた『ファースト・マン』、個人的にひとつくらい賞をあげたい映画だったので、素直に嬉しい結果である。他の作品はSF映画・スーパーヒーロー映画・ファミリー映画が並んでいたが、例年強いこれらのジャンル映画を破り、ニール・アームストロングの軌跡に迫った実話映画が獲得したのは、それだけでも特筆に値すると思う。
脚色賞/脚本賞
何かジェンキンスの言葉を読んでいたら泣けてきてしまった。脚色賞本気で応援してますね>>>【インタビュー】『ビール・ストリートの恋人たち』でバリー・ジェンキンスが外在化した「移ろう意識」とは ─ オスカー監督が見据えるもの https://t.co/bmJXOywr6k @the_river_jpさんから
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) February 24, 2019
最後は大本命脚本2賞である。
脚色賞👑『ブラッククランズマン』/脚本賞👑『グリーンブック』
筆者が最も応援していた『ビール・ストリートの恋人たち』は受賞を逃したが、強敵揃いで監督賞獲得に至らなかったスパイク・リー、そして『ブラッククランズマン』が、遂に今年のオスカーを1部門獲得。登壇時に大はしゃぎして抱きつく姿が映されていたが、何とこれだけの功績があるにもかかわらず、リーは初のオスカー受賞だったとのこと!
スパイク・リーに抱きつかれた相手は、自らも黒人俳優として輝かしい軌跡を辿っているサミュエル・L・ジャクソン。リーの快挙に思わず絶叫してしまうほどだったが、その気持ちは痛い程よく分かるのである。ジャクソンも来年はシャマランの新作辺りで映画賞を賑わせてくれるだろうか。
オリジナル脚本賞を獲得したのは、作品賞にも輝いた『グリーンブック』。GG賞脚本賞も獲得していた作品だが、日本封切り前で未見の筆者は何とも言いようがないというのが本心である(先程からこの作品には渋い意見を述べているが、これは単純に未見というだけであって、この作品を批判しているわけでもこき下ろしているわけでもないのでご了承頂きたい)。勝手に『ROMA/ローマ』と『女王陛下のお気に入り』一騎討ちに『バイス』が割り込むのだとばかり思っていた部門だったので、きちんとノミネート作品はみんなチェックしなければいけないなあと思わされた結果であった。
総括
最多受賞は技術系3部門をかすめていった『ボヘミアン・ラプソディ』の4部門。すぐ下に来るのは『ブラックパンサー』など3作品という結果で、賞レース開始時には誰も考えなかったであろう結果である。有力候補と言われながら『アリー/スター誕生』、『女王陛下のお気に入り』、『ビール・ストリートの恋人たち』はそれぞれ1部門ずつ。しかしながら、今年の賞レースを沸かせた作品に均等に賞が行き渡り、分散した結果でもあるので、「多く獲ったから素晴らしい」とか「1部門だから残念」とかそういうことは無かったと思う。
しかしながら、直前の賞レースで賞を獲得していた作品が抜けるなどの波乱もあり、つくづくノミネート枠が足りないと思わされたオスカー戦線でもあった(それだけ佳作揃いだったということだが)。また、『クレイジー・リッチ・アジアンズ』がノミネート漏れ、『ROMA/ローマ』が作品賞を逃すなど、ハリウッドに根強く残る差別も垣間見られた気がする。願わくば、人種や配信方法など関係無く、順当に評価されるアメリカ映画界が見たいものである*3。
Bohemian Rhapsody won the most #Oscars this year
— Fandango (@Fandango) February 25, 2019
Bohemian Rhapsody - 4 wins
Black Panther - 3
Green Book - 3
Roma - 3
BlackKklansman - 1
The Favourite - 1
First Man - 1
Free Solo - 1
If Beale Street Could Talk - 1
Spider-Man: Into the Spider-Verse - 1
A Star Is Born - 1
Vice - 1 pic.twitter.com/KotDk9g3BO
ところでWOWOWやABCの中継を観られなかった皆さん、NHKのBSプレミアムで今年も放送が決定しているのでどうぞご確認を! 短く編集されて主要部門だけにはなってしまうが、コールマンやマレックの素敵なスピーチは確実に聴けると思うので、是非ご覧いただきたい。筆者も予約のためにリマインダーをかけました!
(私を含め)オスカーを見逃してしまった映画好きの皆様へ、朗報です!
— ようりす︎︎︎︎ (@yolice_221B) February 25, 2019
今年もNHKがBSプレミアムで総集編を放送してくれます!3月10日(日)1:05~!
深夜帯となってしまいますが、ぜひ録画したりして今年のアカデミー賞を楽しみましょ!https://t.co/N2Ylk5KOuQ#アカデミー賞 #オスカー #Oscars pic.twitter.com/VmUab6L25N
ABCの中継映像がジオブロックで観られなかった皆さんはSky TVのアカウントを観ると良さそう……?
関連:アカデミー賞 / 映画賞
*1:昨年『シェイプ・オブ・ウォーター』でノミネートされたサリー・ホーキンズだが、年が年なら彼女が受賞するであろう内容ながら、『スリー・ビルボード』のフランシス・マクドーマンドが立ちはだかり、彼女は映画賞をほとんど獲得できなかったのである。この年の場合、ふたりの出演作が、どちらも大本命の「ドラマ部門」だったことも不運であった。
☞参考までに解説記事をどうぞ
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*2:途中ラミ氏と並んだルーシーちゃんが映って筆者は大喜び
*3:それがハリウッドの悲しいところであり、筆者がイギリスびいきでいる理由でもあるのだが