第3弾にして「#今年買ってよかったもの」便乗記事最終編。大移動にかまけて気付けば大晦日! 最後は小児科と感染症科編です。どちらもなんだかんだ色んな科に跨がる分、なかなか教科書も多岐に渡ってしまったので、最後に回しました。筆者の専門がなまじこの辺というのもありますが……第1弾と第2弾はこちらから。
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- 感染症科編
- 必携のベーシック本
- こどもの感染症
- advanced編
- 小児科編
- ベーシック(というより、救急外来)
- ベーシック(本当の基礎知識)
- 健診関係
- 新生児
- その他ぽろぽろと
- 内分泌疾患
- 先天代謝疾患
- その他
- おしまい
感染症科編
COVID-19の台頭以来何かと注目されている感染症科。意外に分野としては新興であり、いい本が沢山出ては話題になる分野です。COVID-19以来ウイルスがクロースアップされるところですが、臨床的には抗菌薬の使いどころで困ることも多く、やはり成書の1冊は必要だなと思わされます。
必携のベーシック本
持ち歩くのはもうプラチナで充分だと思ってます。当院の感染症科が言ってた。抗菌薬ヤクザも言ってた。因みに選ぶのは通常版でもGrandeでもどっちでも大丈夫です、あれは単に版の大きさだけなので(老眼ならばGrande、くらいでいいです)。
カテゴリやら世代やら色々あって覚えるのがなかなか大変な抗菌薬ですが、これはもう実際の症例とにらめっこしながら勉強するしかありません。一世代上だといい成書がなくて大変だったという話ですが、いい本が沢山出てくるようになりました。大抵の本は「抗菌薬ごとにみた使いどころ、dose」というのと、「感染症の種類から見た、薬の選び方」という作りになっているので、診療でもそういった面を意識するとよいとは思います。たまたまプラチナを買ったのでプラチナを推していますが、別に自分に合う本ならば何でもよいとは思います。例えば岩田先生のこの辺とか、有名ですよね。1冊あればよいのです。
プラチナは使い込み始めると帯に短したすきに長しという気がしてくるのですが、知識の導入という点では丁度いいのかなと考えています。何より日本語で書かれた、日本にローカライズされた本というのがよいです。抗菌薬の分野は本当に添付文書が当てにならないし(大抵はdoseが少なすぎるというのが定評です)*1、体格も人種も違う海外のdoseはそれはそれで当てになりません。
もうひとつ名著として有名なのがサンフォードですが、これは抗菌薬の使い方とか種類とか少し理解してから手を伸ばした方がよいのかなという気がしています。サンフォードは細かく解説が書いてあるというよりは寧ろ表で淡々とdoseを書いていく感じなので…… 加えて、名著ではありますが、何分訳本なので日本では使えない薬も混じっており、そのdoseや期間も日本でのものと少し異なっているので*2、その辺りは差し引きが必要かとは思います。繰り返しますが名著ではあります。わたしも欲しい……!
因みに日本のTDMガイドラインは日本化学療法学会に頼むと冊子版を注文できます!
こどもの感染症
こどもの感染症はもうトリセツ1冊持っとけばいいんじゃないかな、と思っています。何より小児用量は探すとなかなか見つからないので、体重あたり量が載っているのは本当にありがたい! 1日量で書かれていてちょっとめんどくさいのですが、そこは日本の添付文書がそういう書き方だからしょうがないことにします*3。
トリセツのいいのは抗菌薬の使い方だけでなく、ウイルス性疾患も含めて、小児感染症を幅広くカバーしているところです。こどもは沢山風邪を引くけれど、意外に小児の感染症の成書は数少ないのです。そしてワクチンが行き届いた今、こどもの感染症の大半はウイルス性疾患なのです。
感染症診療と切っても切り離せないのが、ワクチン診療。国試の時に「おむすびフロマージュ……」と唱えていた記憶がある人も多いことでしょう。たまたま出会って分かりやすいなと思ったのが日本ワクチン産業協会の「予防接種に関するQ&A集」と「ワクチンの基礎」です。ワクチンスケジュールの表やうっかり打ち損ねた時のキャッチアップ、ワクチンの作られ方などなどが詳細に書かれています。冊子版は有料ですが、PDFの電子版ならばネットで無料で読めるので是非。
advanced編
ここからはもうオタクの世界のような気もしますが。
*1:そこら辺の穴を埋めるためにTDMのGLとかあるのですが、とあるコンサル症例でさっぱりVCMがfull doseにならないなと思っていたら、主治医が「添付文書のVCM量はこれだから!!!」と言っていた時は頭を抱えました※添付文書量のVCMはTDM-GLと比較するとまるでdose違う
*2:例えばアメリカだと入院を避けるためにガンガン経口移行するので、そのための本が出ていたりする→
*3:抗菌薬屋さんは"ABPC/SBT 3g q6h"と1回量+投与間隔で書くのが好きなので