オスカー授賞式直前企画。全4記事でノミニーを振り返る企画の第3弾である。前の記事はこちらから。ノミネートの出典はVarietyさんです。
mice-cinemanami.hatenablog.com
- その1【演技部門主要4賞】
- その2【作品・監督・音楽・脚本】
- その3【技術系部門】
- その4【短編作品・アニメーション】☜イマココ
記事自体の目次
前哨戦結果など
- 2020ゴールデングローブ賞ノミネート発表! - ちいさなねずみが映画を語る
- #BAFTA2020 - オスカー最大の前哨戦、英国アカデミー賞2020前編 - ちいさなねずみが映画を語る
- #BAFTA2020 - 英国アカデミー賞2020特集中編 - ちいさなねずみが映画を語る
- #BAFTA2020 特集後編 - レベル・ウィルソンのキレッキレトークにご注目 - ちいさなねずみが映画を語る
長編アニメ部門
筆者予想:『クロース』/ 受賞作品:『トイ・ストーリー4』
#Oscars Moment: See the winner for Best Animated Film: @Pixar's @ToyStory 4. pic.twitter.com/2xyTHyP0Yo
— The Academy (@TheAcademy) 2020年2月10日
- 『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』“How to Train Your Dragon: The Hidden World,” Dean DeBlois
- 『失くした体』“I Lost My Body,” Jeremy Clapin(Netflix配信中)
- 『クロース』“Klaus,” Sergio Pablos(Netflix配信中)
- “Missing Link,” Chris Butler(英語版予告編)
- 『トイ・ストーリー4』“Toy Story 4,” Josh Cooley
BAFTAでNetflix対決を制した『クロース』が有利なのかと思いきや、伏兵的にピクサーが送るシリーズ第4作『トイ・ストーリー4』がかっさらっていった。アニメ界の最高賞アニー賞では『クロース』が大躍進し、『失くした体』もこれを追っていただけに予想外の結果である。
natalie.muそう言えば助演男優賞にノミネートされてたトム・ハンクスも会場に姿を見せていたが、彼が第1作から一貫してウッディの声を吹き替えてるの、ほんと凄いことだよな……なんせ今やハリウッドいちの名優だもんな……
トイ・ストーリー4 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- 発売日: 2019/11/02
- メディア: Blu-ray
短編アニメーション部門
個人的応援作:"Hair Love" / 受賞作:"Hair Love"(やったー!)
- “Dcera,” Daria Kashcheeva(トレイラーviaVimeo、原題の意味は「娘」)
- “Hair Love,” Matthew A. Cherry
- “Kitbull,” Rosana Sullivan(本編動画viaYouTube、ピクサーが手描きにこだわって製作した作品)
- “Memorable,” Bruno Collet(外国語予告編)
- “Sister,” Siqi Song; 宋思琪(公式サイト、トレイラーviaVimeo)
先日ネット上でも公開されており、その内容に心温まった作品がアカデミー賞を受賞! 海外作品だけれど台詞はほとんど無いので安心してご覧いただきたい。大好きな筋書きだけど、言うとネタバレになっちゃうから言わないね。
Hair Love: Based on the Oscar nominated short film (English Edition)
- 作者:Matthew Cherry
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- 発売日: 2019/05/02
- メディア: Kindle版
#Oscars Moment: Hair Love wins Best Animated Short Film! pic.twitter.com/LjInB0ejmy
— The Academy (@TheAcademy) 2020年2月10日
長編ドキュメンタリー
受賞作:『アメリカン・ファクトリー』
- 『アメリカン・ファクトリー』“American Factory,” Julia Rieichert, Steven Bognar(英語版予告編、Netflix配信中)
- 『ザ・ケーブ』“The Cave,” Feras Fayyad(日本版公式サイト、英語版予告編)
- 『ブラジル—消えゆく民主主義—』“The Edge of Democracy,” Petra Costa(英語版予告編、Netflix配信中)
- 『娘は戦場で生まれた』“For Sama,” Waad Al-Kateab, Edward Watts
- 『ハニーランド永遠の谷』(映画.com特報)“Honeyland,” Tamara Kotevska, Ljubo Stefanov(英語版予告編)
ナショジオの送る『ザ・ケーブ』と、今月末公開の『娘は戦場で生まれた』は共にシリアの窮状を描く作品。どちらも医療関係者が作品に携わっており、空爆で人々が傷付いて治療もままならない様子を描いている心の痛む作品だ。『ザ・ケーブ』の主人公である女性医師は既にシリアを脱出、激戦地アレッポで『娘は戦場で生まれた』を撮影していた家族はイングランドで難民として生活しているというが、故郷を脱出できる方が少ないのだろうなとも思わされて虚しくなってしまう。
前の記事でも示したけれど、マケドニア発のドキュメンタリー『ハニーランド永遠の谷』は外国語映画賞にもノミネートされる快挙。ドキュメンタリー作品が外国語映画賞にノミネートされるのは初の快挙だ。
そして『アメリカン・ファクトリー』の受賞は、何とオバマ前大統領も祝福……! Netflixの配信頁によれば、製作にオバマ夫妻の出資した映画会社が関係しているとのことだ。作品は1度閉鎖したGMのオハイオ工場が中国人富豪の出資により再開されるものの、米中文化の違いや貿易摩擦により窮地に追い込まれる……という話のようだ。
Congrats to Julia and Steven, the filmmakers behind American Factory, for telling such a complex, moving story about the very human consequences of wrenching economic change. Glad to see two talented and downright good people take home the Oscar for Higher Ground’s first release. https://t.co/W4AZ68iWoY
— Barack Obama (@BarackObama) 2020年2月10日
短編ドキュメンタリー
受賞作:"Learning to Skateboard in a Warzone (If You're a Girl)"
It’s official! #Oscars pic.twitter.com/UeoYK52trf
— The Academy (@TheAcademy) 2020年2月10日
- “In the Absence,” Yi Seung-Jun and Gary Byung-Seok Kam(Tiff予告編)
- “Learning to Skateboard in a Warzone (If You're a Girl),” Carol Dysinger
- 『眠りに生きる子供たち』“Life Overtakes Me,” Kristine Samuelson and John Haptas(英語版予告編、Netflix配信中)
- “St. Louis Superman,” Smriti Mundhra and Sami Khan(英語版予告編)
- “Walk Run Cha-Cha,” Laura Nix
韓国の"In the Absence"はセウォル号事故を扱った作品。YouTubeとVimeoで公式配信されている。
Netflix配信中の『眠りに生きる子供たち』は、難民としてスウェーデンに非難した子どもたちが「あきらめ症候群」と呼ばれる"眠り病"にかかるさまを掘る。長編ドキュメンタリー部門のノミネート作といい、世界各地で多くの難民が生まれていることは大変悲しい事実だ。
"Walk Run Cha-Cha"はYouTubeやVimeoでニューヨーク・タイムズから公式配信中。NYTの紹介記事によると、ベトナム戦争から逃れてカリフォルニアにやってきた男女が、40年の時を経てともに社交ダンスを始める……という作品のようだ。
受賞作の"Learning to Skateboard in a Warzone (If You're a Girl)"は、こうやって振り返ってみると既にBAFTAで英国短編作品賞を受賞していたんですね。この作品はアフガニスタンを舞台に、イスラム教の教えに則り女子に充分な教育が成されていない窮状を切り取ったもの。スケボー教室を通して彼女たちに輝く未来が切り開かれていくさまが描かれているようだ。
www.youtube.com - トレイラー
短編映画賞 (実写)
受賞作:"The Neighbors’ Window"
#Oscars Moment: @marshallcurry wins Best Live Action Short Film for "The Neighbors' Window." pic.twitter.com/DJw5AxHJzE
— The Academy (@TheAcademy) 2020年2月10日
- 『兄弟愛』“Brotherhood,” Meryam Joobeur (※ブリリアで配信中)
- “Nefta Football Club,” Yves Piat(下記)
- 『向かいの窓』“The Neighbors’ Window,” Marshall Curry(Tiff予告編)
- “Saria,” Bryan Buckley(Tiff予告編、グアテマラの施設での虐待を描く)
- “A Sister,” Delphine Girard(ユニフランス公式ページ、YouTube予告編)
マーシャル・カリーが4度目のノミネートにして初の受賞。本人のアカウントを通してYouTubeとVimeoで公式配信されている。これまではドキュメンタリー作品を多く撮影していたが、フィクションに足を踏み込んだ作品で遂にオスカーを掴んだ。
ノミネート作の"Nefta Football Club"はYouTubeとVimeoで配信中。短編映画はVimeoで配信されてるの多いよね。
www.youtube.com - 英語字幕付き
ところで『兄弟愛』と『向かいの窓』の2作は、ブリリア・ショートショートが送るSSFF&ASIA2019の受賞作。ブリリアでは定期的に良作の短編映画を発掘しては配信しているが、その目利きが確かなものだと証明することになった。
おっしまい!
これにてオスカー特集も締めくくり。宜しければ他3記事も合わせて読んでね!
- その1【演技部門主要4賞】
- その2【作品・監督・音楽・脚本】
- その3【技術系部門】
- その4【短編作品・アニメーション】☜イマココ
関連:映画賞 / アカデミー賞2020