暇を持て余した神々の遊び(?) - オスカー授賞式のちょっとした舞台裏
近年のオスカー当日と言えば、映画批評サイト、エンタメ雑誌、そしてノミニーとなった作品の広報関係者たちがTwitterでリアルタイム投稿することでも有名である。ご多分に漏れなかったのが日本でも絶賛公開中の『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』"Knives Out"('19)の英語公式アカウントだ。
脚本賞にノミネートされたものの無冠に終わった『Knives Out』公式アカウントが暇を持て余してツイートしている感じが面白い。
— ファ-子 (@fu_cco) 2020年2月10日
このツイートを見て辿ってみたらまー遊んでること遊んでること。自ら劇中シーンを引っ張り出してきてインターネットミームを作っては遊んでいる。ついでなのでこの面白ツイートを掘り起こしてみたい。
www.youtube.com - 本家「暇を持て余した神々の遊び」
- レッドカーペットに到着
- 普通のツイートも最早束の間
- 大量に投下されるインターネットミーム
- 何度でも弄られる猫映画
- ミーム化するポン・ジュノ、ミーム化を進める『ナイヴズ・アウト』組
- #アナ・デ・アルマスは評価されるべき
- クソコラonクソコラ
- 「楽しみきりました!」何でだよ
- まさかの返信
- ついでなので
- おしまい
レッドカーペットに到着
秘密の符牒のようにレッドカーペット襲来を告げたツイートで口火を切り、『ナイブズ・アウト』組のオスカーがスタート!
Knives? OUT. Carpet? RED. We’re going ✈️ #Oscars y’all!
— Knives Out (@KnivesOut) 2020年2月10日
監督・脚本のライアン・ジョンソンが妻カリーナ・ロングワースと揃って会場入り! つくづくこの人は何でSW8こけたかだよな。そして彼の作った道筋を大きく方針転換してしまったSW9のJJよ……
#KnivesOut's @rianjohnson and @KarinaLongworth grace the #Oscars red carpet pic.twitter.com/SGUA5by0W0
— Variety (@Variety) 2020年2月9日
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普通のツイートも最早束の間
ジョンソン夫妻のレッカペ到着を報告するか早いか、すぐにアカウントの体制がおちゃらけモードに変化。まさに暇を持て余した神々の遊びである。最初のツイートは「正直、オスカーでジョニ・スロンビーにプレゼンターさせるために払ってもいいかなと思ってる」というこちら。ジョニ・スロンビーはトニ・コレットが演じた被害者の死んだ長男の未亡人である。
I would PAY to have Joni Thrombey present an award at the #Oscars tbh.
— Knives Out (@KnivesOut) 2020年2月10日
大量に投下されるインターネットミーム
Us rn #Oscars pic.twitter.com/LvpvkgXIcG
— Knives Out (@KnivesOut) 2020年2月10日
右:「わたし、どあほ、テレパシーでティモテ・シャラメに"『ナイヴズ・アウト』が脚本賞"って言うか聞いてる」
左:「ティミー、別に脚本賞のプレゼンターするわけでもない」
何故か自分たちでインターネットミームを作って投下してくるスタイル。ちなみに脚本賞のプレゼンターとして登場した男性は、シャラメではなくキアヌ・リーブスでした。シャラメがやったのは似て非なる脚色賞だよ……!
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何度でも弄られる猫映画
Me when Cats came on stage and gave me whiplash: pic.twitter.com/gp6rPnPMlV
— Knives Out (@KnivesOut) 2020年2月10日
「『キャッツ』がステージに登場して、鞭打ちを食らわされた時の自分。」
クリエヴァが最早キャップのイメージと程遠い蛮行に出ていて笑う。猫ちゃん蹴らないで。そんなんしてたら "Language!" って言われちゃうでしょ。ま、そんな紳士(?)クリエヴァが「くそったれ!」と連呼してるのがこの映画の良さなんですけどね。
www.youtube.com - クリエヴァの"s**t"連呼が観たい人はこちら
ちなみにクリエヴァが足蹴にしてる不気味な猫ちゃんは、『キャッツ』の役柄そのままに視覚効果賞のプレゼンターとして登場したジェイムズ・コーデンとレベル・ウィルソン。前説で「わたしたちほど視覚効果の重要性を認識している人物などおりません」と言っていたらしくて笑う(全世界で猫が不気味すぎると大不評な『キャッツ』は、まさかの公開後に視覚効果を修正して差し替え)。当日はこんな出オチみたいなパフォーマンスもしていました。
Al Pacino cannot get enough of this Cats bit #Oscars pic.twitter.com/r5jxyXfXsE
— MTV NEWS (@MTVNEWS) 2020年2月10日
mice-cinemanami.hatenablog.com - 何故このふたりになったのか、その謎はここで……
ミーム化するポン・ジュノ、ミーム化を進める『ナイヴズ・アウト』組
Honestly, we’re having such a great time at the #Oscars pic.twitter.com/fdN7XwIaIr
— Knives Out (@KnivesOut) 2020年2月10日
「正直なところ、オスカーでとても素晴らしい時を過ごしています」とのキャプションが付けられた『パラサイト 半地下の家族』組のプレスカンファレンス写真。SAG賞を獲ってインタビューに応じるキャスト陣に「ポン・ジュノがステージに上がる度」、そして後ろでこっそり写真を撮るポンに「自分」という字幕が。この写真通り、ポン・ジュノは脚本賞・外国語映画賞・監督賞・作品賞の計4回ステージに上がり、ハリウッドの映画界に大絶賛されたのだった。
www.cinematoday.jp - ポン・ジュノが監督賞受賞時に何を喋っていたのかというシネマトゥデイの記事。スコセッシとタランティーノに賛辞を述べたところでは、韓国語が分からない観客たちも察して大拍手
でもさ……監督めちゃめちゃ可愛いからミームにしたい気持ちは分かるよな……
#アナ・デ・アルマスは評価されるべき
Me about Best Actress Nominees: pic.twitter.com/raTyoHyYzq
— Knives Out (@KnivesOut) 2020年2月10日
「アナ・デ・アルマス、完全無比」
リンダ・ドライズデール「貴女はあそこにいるべきだと思うの。わたしは票数で負けたわ」
ジェイミー・リー・カーティス演じるリンダ・ドライズデールさまのひと言。看護師マルタ・カブレラ役を演じたアナ・デ・アルマスは、この演技でGG賞主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートされていた。『ナイブズ・アウト』はGG賞では比較的評価されていた印象だが、オスカーでは脚本賞のノミネート止まりであり、リンダさまもお怒りのようだ。
ちなみにそんなアナ・デ・アルマス様は、『ブレードランナー2049』で主人公Kの雇う美しきレプリカントを演じているので、こちらも合わせてどうぞ。
ブレードランナー 2049 4K ULTRA HD & ブルーレイセット(通常版) [4K ULTRA HD + Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2018/03/09
- メディア: Blu-ray
アナ・デ・アルマス推しの甚だしい公式は、彼女が劇中でマグカップを持っているシーンにオスカー像をクソコラ。「賞レースシーズンのために、ノミネート発表の随分前に作っておいたのですが」との断り書きがあるが、なんて用意のいい……
I made this a long time ago for awards season before all the noms...just gonna post it and go! pic.twitter.com/L3zWf45Q9P
— Knives Out (@KnivesOut) 2020年2月10日
クソコラonクソコラ
頼みの綱であった(?)脚本賞もポン・ジュノの『パラサイト 半地下の家族』にかっさらわれ(?)、いよいよやることの無くなった『ナイブズ・アウト』組。最後に投下したのは先程のアナ・デ・アルマスクソコラに、ポン・ジュノの顔をはめ込んだクソコラonクソコラだった。デ・アルマスの長い髪を編集で消さないから、ポン・ジュノが安売りに来たおばちゃんみたいになっちゃってるじゃん……
His house. His rules. His Oscar.
— Knives Out (@KnivesOut) 2020年2月10日
Congrats to @ParasiteMovie for Best Picture! pic.twitter.com/l6LYwtW78m
「楽しみきりました!」何でだよ
作品賞はオスカー授賞式で最後に発表される賞なので、『パラサイト 半地下の家族』の作品賞を祝う先程のツイートでお遊びはおしまい。おまけに映画の告知を行うツイートも一段落となったようだ。……いや「楽しみきりました!」じゃないんだよな……
Okay folks, it’s been real fun forcing everybody to read my tweets tonight (and the past few months.)
— Knives Out (@KnivesOut) 2020年2月10日
So long for now, until next time!
xoxo KO Social Media Manager 🥺
「オーケー皆さん、今夜みんなにわたしのツイートを読ませるように仕向けるのはとても楽しかったですよ(過去数ヶ月もね)。今のところはさようなら、また次の機会で!」
つづき)
Should I do a face reveal? An account drop? 🤔
— Knives Out (@KnivesOut) 2020年2月10日
「顔を明かすべきかな? それともアカ消し?🤔」
もう自由すぎます。すきです(笑)。
まさかの返信
ポン・ジュノ監督をひたすらミームにしていたら、『パラサイト』の英語公式Twitterからまさかの返信が来ちゃった。顔は主演のソン・ガンホだけれど、胴体をよく観ると、クリエヴァ演じるランサム・ドライズデールの写真へクソコラしたものである。「これもっと頻繁にやらなくちゃな」じゃありません。やらなくてもいいです(笑)。
"We’ve got to do this more often."
— Parasite (@ParasiteMovie) 2020年2月10日
Thank you @KnivesOut @rianjohnson https://t.co/DMbl4E18xu pic.twitter.com/SE71op5RgB
ついでなので
これはぼくの大好きなタイカ・ワイティティが、オスカー振り返りではなくBAFTA振り返りをしているところです。
そしてそんなワイティティをラファロおじちゃんが祝福してるところです。
『パラサイト』と『ジョジョ・ラビット』が大好きなGotGシリーズのジェームズ・ガン監督が嬉しがっているところ。気に入った映画がオスカーを獲ったことなんてなかったんだよ、というガン監督にちょっと彼の好みを感じる。アングラな映画とかカルト的人気みたいな映画が好きだもんね。結構エドガー・ライトと話が合うもんね。
「『パラサイト』と『ジョジョ・ラビット』は今年のお気に入り映画だ。その年自分が気に入った映画がオスカーを獲ったことなんて今までなかったんだよ」
#Parasite and #JoJoRabbit are my favorite movies of the year. The last time my favorite movies of that year won Oscars was never. https://t.co/iwHMHf3Mz8
— James Gunn (@JamesGunn) 2020年2月10日
これはワイティティのインタビューに反応するエドガー・ライト。プロデューサーとの次の話し合いで脚本家たちは何を述べれば? という問いに、ワイティティは何故か「Appleはキーボードを直す必要があるな。あれで書くなんて不可能だろ。どんどん悪くなってる。PCに戻りたくて仕方なくなってくるくらいだ」("Apple needs to fix those keyboards. They are impossible to write on. They’ve gotten worse. It makes me want to go back to PCs")と述べていたのだが……
The funny thing is though he’s not joking. And he’s right! https://t.co/8pvGdfHOuO
— edgarwright (@edgarwright) 2020年2月10日
こちらはレッドカーペットを彩ったカップルたちです。
www.msn.com - 『ボヘミアン・ラプソディ』のラミルシカップルも映ってるよ!
おしまい
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』は劇場絶賛公開中。GIPHYにて公式の劇中クリップGIFが探せます。ネイサン・ジョンソンが担当したサントラが発売中! 海外では2月25日にセル・配信が決まったみたいだけど、日本はいつになるかな……?
関連:ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 / ライアン・ジョンソン / アカデミー賞2020 / 映画賞 / Twitter