ちいさなねずみが映画を語る

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『ジョジョ・ラビット』の前に必見! - 映画『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』

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ゴールデン・グローブ賞の発表も終わり、いよいよ今年の賞レースも後半戦。2月初めのオスカーで締めくくりとなるが、それを引っ張っているのがタイカ・ワイティティの新作『ジョジョ・ラビット』"Jojo Rabbit"('19)である。ケネス・ブラナーが重厚感を持ってスタートさせたMCUマイティ・ソー』シリーズに『マイティ・ソー/バトルロイヤル』で旋風を吹き込んだワイティティが*1ユダヤ系のルーツを持つ身としてナチス・ドイツレジスタンス運動をどう描くのかも見どころな一作だ。主演のローマン・グリフィス・デイヴィスは9歳ながら、この作品で堂々ゴールデン・グローブ賞ノミネート。主人公ジョジョの愉快な母にはスカヨハ*2、教官役には『スリー・ビルボード』のサム・ロックウェルと何かと話題な『キャッツ』からレベル・ウィルソン、そして空想のヒトラー役にはワイティティ本人と豪華布陣が敷かれた。

 

この作品の公開前に是非とも観ていただきたいのが、ワイティティがスケッチメイトだったジェマイン・クレメントと共に製作した『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』"What We Do in the Shadows"('14)。ワイティティらしい軽妙さのルーツが分かる作品なので、『ジョジョ・ラビット』の予習がてら視聴していただきたいと思う。

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まさかの吸血鬼の日常をモキュメンタリー化

もうタイトルのまんまである。意味がわかんない人はプレビュー動画を観てほしい。

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最初に登場するのはワイティティ自ら演じる吸血鬼のヴィアゴ。ちょっぴり神経質でシェアハウスの管理をまとめるしっかりものである。次にコウモリよろしく逆さまで登場するのはディーコン。「ナチ・ヴァンパイア」を自称しているが、実情はちょっと気取った兄ちゃんということである。ディーコンの183歳なんて青二才、最後に登場するヴラドは862歳。部屋にいい感じのお姉ちゃんを沢山連れ込むモテ男ぶりだが、実は彼が共筆のジェマイン・クレメントである。因みにこのお屋敷には8000歳の重鎮ピーターもいる。ヴィアゴが6時の目覚ましで起きてそろそろと窓の外を覗く所が何とも可愛い(笑)。

 

年もバラバラ、出身地もバラバラの吸血鬼4人だが、彼らは何故かニュージーランドに落ち着いて共同生活を送っている。この作品は、そんな彼らがモンスターたちの舞踏会に出るまでの密着取材という体で進むモキュメンタリーだ。途中狼男の集団と吸血鬼たちの謎の戦いもある。魔女まで出てくる。ヴィアゴは女々しくも昔愛した女性が忘れられないし、ヴラドの元カノ問題が思わぬ展開を見せる。登場人物(?)は揃いも揃って人間臭いのだが、時に見せる吸血鬼や狼男としての自我が笑えてしまうファニーな一作だ。吸血鬼たちはどうも現代テクノロジーに疎いらしい。というかニュージーランドはどうなってるんだ

 

時折出てくる人間たちとの絶妙なバランス感

吸血鬼たちは出来るだけひっそり暮らしているけれども、それでも暮らしていくためには人間の助けが欠かせない。そもそも彼らは日に当たると灰になってしまうので、繰り出せるのは夜の街だけ。食糧を届けてもらったり洗濯物を処理してもらうのに、ディーコンが甘言を吹き込んだジャッキーという女性を利用している。何なら餌食も調達してもらっている

 

途中ニックという人物が吸血鬼になり、その友人ステューがやってきたことで、吸血鬼たちはITという手段を覚えることになる。ステュー役はまさかの本人役のステュー・ラザフォード。IT関係の仕事をしていたのも実話で、この作品の短編版にも出演していた。おまけにワイティティとシェアハウスしていたのまで本当の話だという。何か現実と虚構が行ったり来たりしていて分からなくなってしまう(笑)。

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www.youtube.com - オリジナルの短編映画

あれ、この構図は……?

ワイティティによるコメディタッチなモキュメンタリー作品。人間が現れて人外と交流する。ここまで来て何だか既視感を覚えた人もそれなりにいるんじゃないかと思う。それもそのはず、ワイティティはMCUマイティ・ソー/バトルロイヤル』制作時にも同じ事をやっているからだ*3

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クリエヴァ演じるキャプテン・アメリカと、RDJ演じるアイアンマンが対立し、アベンジャーズの内戦と化した『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』"Captain America: Civil War"('16)。ところが、アベンジャーズの中核メンバーなのに、ソーはこの戦いに誘ってもらえずじまいで不参加に。アメリカでヒーロー達が二分される戦いが行われている中……なんとソーはオーストラリアで休暇に勤しんでいた。北欧の神様なのに、南半球でだらけて海パン姿でオーストラリアを謳歌している。そら『インフィニティ・ウォー』でだらしないビール腹を晒す訳だわ。

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この作品の舞台がオーストラリアに設定されているのは、クリヘム(オーストラリア人)・ワイティティ(NZ人)の双方がオセアニア人だということと無縁ではないと思う。何ならクリヘムは「家族と過ごす時間をきちんと作りたい」と言って、ハリウッドでの映画製作のペースを少し落としたいと話していたほどの人物だった。実際おうちはオーストラリアにあるしね。

 

というか、ハイパーつよつよ雷神さまのソーがこんなにだらしない姿を晒す作品があっただろうか。というかこの作品以降、MCUではソーの狂言回しという一面が強調されていったように思う。ゆるいテンションには『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』と似たものを感じられる。ワイティティのモキュメンタリー作家、そしてコメディアンとしての才能の高さを感じさせる作品だ。

 

因みに『ドクター・ストレンジ』でのソー再登場に合わせて、うっかりもう1本作っちゃった。何ならクリヘムは「シリーズ化してほしいな」とか言ってた。一気観したい人はこれをどうぞ。その内特集する気があるとか無いとかそういうことを書いておく。

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NZ映画界の星タイカ・ワイティティ

そもそもタイカニュージーランド映画界を牽引する監督のひとりである。彼が2010年に製作した"Boy"は、マイケル・ジャクソンに憧れるマオリの少年と*4、その前に突如現れた前科者の父親との交流を描く作品で、ニュージーランド史上最高の興行収入を叩き出した正統派作品だった。前科者の父親役はワイティティ自らが演じ、『ジョジョ・ラビット』、『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』同様に脚本・監督の3役をこなしている。NZの興収記録は2016年に公開した "Hunt for the Wilderpeople"で再度塗り替えている。

BOY

BOY

 

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しかしながら、彼のキャリアを語る上でコメディというものも脇には置いて語れない。『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』で共筆したジェマイン・クレメントは元々スケッチメイト*5で、1999年には共にニュージーランド喜劇の賞を獲得した相手でもある。

 

この度公開される『ジョジョ・ラビット』は、そんなタイカが満を持して送る作品。原作ものではあるが、ユダヤ系の出自を持つ人物としてナチス・ドイツという難しい問題に向き合い、同時にタイカ流のコミカルな語り口も忘れずに製作された。賛否両論になりそうな話題を扱いながら、Rotten Tomatoesの評価は2020年1月12日時点で80%支持オスカー作品賞に近いとも言われるトロント映画祭観客賞も射止め、快進撃を続けている。こちらも是非劇場でご覧いただきたい。

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人気すぎてこんな作品も

ニュージーランドで作られた低予算モキュメンタリー作品ながら、『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』はエドガー・ライトの『ショーン・オブ・ザ・デッド』よろしくカルト的人気を博している。昨年には米国でクレメント監修の元ドラマ化されたが、早くもシーズン2が決定! おまけにルーク・スカイウォーカーを脱してすっかり面白おじさんと化したマーク・ハミルの出演が決定したという。『ビッグバン★セオリー』ゲスト出演でも大好評だったハミル、このコメディタッチに物凄く合いそうで楽しみである。

theriver.jp - あっ、ってことはハミルおじいちゃんは吸血鬼になってしまう……?

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というわけで、是非是非『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』チェックしてみてね! 入居者募集中!

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200118更新) タイカの手に掛かればこのミームすら

ビニールタッキーさんからこんなものがシェアされていた。総統閣下は『マイティ・ソー/バトルロイヤル』がお好きのようです(笑)

 

 

関連:タイカ・ワイティティ / ジェマイン・クレメント / シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア

*1:

*2:そう言えばタイカはスカヨハの出演に意味分からないコメントを寄せていた☞

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*3:物語上は『シビル・ウォー』と同じ時期とされているが、実際の製作はワイティティが手掛けた『バトルロイヤル』と並行だった

*4:ちなみにワイティティはニュージーランドマオリ(父)とロシア系ユダヤ人(母)のハーフである☞

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*5:喜劇作品を書く相方のこと

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