ちいさなねずみが映画を語る

すきなものを好きなだけ、観たものを観ただけ—

どうでもいいひとりごと - 200308

COVID-19について。

 

実演講座でもやってみたら

まだPCR全例に実施したい人たちがいるみたいだから、この際昼の情報番組で「MCが挑戦する! PCR検査の実際」みたいなタイトルでPCR検査やってみたらいいんじゃないか。病原性のあるものとか遺伝子組み換え大腸菌とか使うと面倒だから、何をターゲットにしたらいいかなあ。鼻咽頭ぬぐい液取るところから全て自前でやってほしい。あるはずなのに増幅できないとか試料の調製ミスで大失敗とか、実験系あるあるを是非体験してほしい。そして最後の最後に「生放送の時間に収まりませんでした」とかやってほしい。「一家に一台PCR!」みたいなテンションで話すからにはそれくらい、ねえ?

 

韓国の甲状腺癌検診を思い出す

この話を考えていて、ふと韓国で起こった甲状腺癌の過剰診断の話を思い出した。頚部エコーで簡単に診察できるようになったことから、韓国は若年者の甲状腺癌のエコー検診を無料にして広く普及させることにした。甲状腺癌は若年者の癌死亡でそこそこの割合を占めているので、早期診断できれば死亡率が減らせるのではないかと考えたのだ。実際この検診を導入したところ、韓国国内での罹患者数は急増した。癌なのに診断されていない人たちが沢山見つかったのである。

しかしながら数年経って論文が出て、この検診は死亡率を全く下げていないことが分かった。普通は早期診断が出来れば早めに治療に移れて、その後の転移や死亡などをリスクを下げるものだと思う。しかしながら、甲状腺癌は全身各臓器の癌の中で、比較的ゆっくり進み、予後の良いものとされている。死亡率を全く下げなかった、ということは、この時点で診断する必要は全く無かったということなのだ。要するに、見つける必要の無い癌を見つけて、数が増えた*1、と言っていたのである。この話は韓国国内のメディアにすっぱ抜かれ、若年者の検診受診者は下降の一途を辿った。罹患率はエコー検診の導入で一次爆上がりしたが、現在は諸外国と同じ程度の割合にまで下がったという話だったように思う(ソースは探すのが面倒なので各自お調べ下さい)。

synodos.jp

医者が必要だから必要……?

テレビでは医者が必要だと言っている検査なのに出来ないじゃないか、みたいなことを言う人もいる。勿論必要な検査が必要な場所に届かないというのは問題だと思う。

でも、こないだテレビで見たとある医者の診察なんて酷いものだった。70代のおじいちゃんで胸部レントゲンを撮ったら肺炎像があった。接触歴を訊ねたかどうかは定かではない(この時はまだクルーズ船の乗客たちが降り始めたかどうかという時期だったので、市中での接触歴は大分限られていたと思う)。レントゲン自体はちらっとしか見えなかったが、年などを考えれば、先に出てくるのは肺炎球菌とかインフルエンザ桿菌とか、そういう市中肺炎の起因菌だと思う。それに対してこの医者、何と言ったかって、「あー肺炎像がありますね。コロナの検査がしたいからコールセンターに電話しようかな」。電話は結局繋がらず、パンクしてますね、という結論になっていたが、そりゃこういうじいさんがいっぱいならコールセンターもパンクするわと思う。

 

残念なことに、このブログでも何回か取り上げたように、医療資源は有限だ。「OKバブリー☆彡」と言っていた時期はとうに過ぎ去って、今は有限の医療資源をどう回すかということに社会が躍起になっている。そういった観点からよく言われるのが、「問診と身体診察で多くの病気は診断できる」という言葉だ。「肺炎かな? じゃあコロナ」みたいな短絡的思考は許されない*2

安易な検査を踏みとどまらせるために、「検査をしたからには判断が必要、その検査でその後の行動は変わりますか?」ということもよく言われる。検査してもしなくても、どうせ点滴繋いで酸素吸わせてひどくなったら呼吸器繋いで、というような状況なら、その検査は多分意味が無い。

 

これだけ書いて何が言いたいかって、「医者が判断したから」と言っても、その医者の臨床力が著しく低かったら、その判断は当てにならない。そういう一部の偏った例を取り上げて、検査してほしいのにしてもらえない、と騒ぐのはフェアじゃない。

 

おしまい

段々とりとめのない話になってきたので強制終了しようと思う。そう言えば本当に関係無いけれど、この本が面白そうだったのでさっき買った。

関連:COVID-19 / PCR検査

*1:ちなみに罹患者数は検出能のよい検査が開発されれば上がる。「罹患者」の定義が「ある期間に見つかった患者の数」なので

*2:ただ、市中肺炎とCOVID-19を身体診察でどう見分けるかというとそれは無理だと思うので、やはり問診力なのかなあ

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