今更どころか1か月経っとるやないかというごもっともなツッコミが入ろうと思いながら、文章をしたためる。現地で思うことは沢山あったが、大雨予報を警戒してパソコンは自宅に置いていき、その後実臨床が忙しくて全く文章にする暇がなかった。遅きに失する上に、実働隊のMD会員が100人ちょいという何ともニッチな世界の話を誰が読もうと思いつつ、心の中に留めておくのも勿体ないので、ネットの片隅にたゆたわせておく。
まえおき
2025年6月11日〜13日に久留米大学主管、久留米シティプラザ会場で開かれた第109次日本法医学会学術全国集会に行ってきた。行きやすさとプライベートの関係で大体2-3年おきに行っている。学生になったらもっとちゃんと行きます。
毎年主管校が肝いりでコーディネートする特別企画の中で、今年はシンポジウム2の「大規模災害時における死体検案の実務と課題 〜過去の経験を踏まえて〜」が目を引いた。東日本大震災を経て法医の道を志したので、これからの災害医療/法医学に向けて何か実になるものがあればと参加した。
その他は小児例を中心に一般口演と法医病理学会の症例検討をつまみ食いして、ポスターセッションをぐるぐる回り、知り合いにちらほら挨拶してから、隙間を縫って久留米と博多を観光して帰ってきた。直前で日程変更したので徒歩強行+タクシー・バスでの旅だったが、短時間ながらそこそこ色々回れたのではないかと思う。
- まえおき
- この学会の内向きさには、辟易する
- 人がいないから、育てられる場所も限られてくる
- 全国学会なのに、通訳もしないとはお粗末
- 実際の参加レポート
- シンポジウム2:大規模災害時における死体検案の実務と課題 〜過去の経験を踏まえて〜
- オーラルとポスターのおもしろかったもの
- 純粋な疑問として
- 臨床の分かる、法医学者でいたい
- 久留米よいとこレポート
- おしまい
この学会の内向きさには、辟易する
これはもう前からずっと言っているのだが、法医学会は、内向き過ぎる。内輪の運動会じゃないんだぞ。アウトリーチに出す金も気概もないくせに、人が集まらない集まらないと嘆いてどうする。いざ外部広報をしようとすると、症例写真がどうこうとか守秘義務がと騒いで途端に内向きになる。実症例を出さずとも、実務内容や他学会とのコラボレーションでも外部広報できように!!!
質疑応答においても、大体同じ人が同じことしか言わない(以前から)。現実に即さない突拍子もない意見が出てくることもざらである。いや勿論突拍子もない意見は研究の種であることも多いので、一概に悪ではないのだが、臨床家の肌感覚とあまりにずれていると、それは……となる。
要するに新しい風が吹いてこない。新しい人は細々と入ってくるが、実務の忙しさで研究もできず、疲れて辞めていく人も多い。それか学位だけと割り切って入ってきて、教官として残らない人もいる。ポストはそれなり空いているし、需要も確実にあるのだが、学生育成→教官輩出という供給サイドが圧倒的に間に合っていないのだ。
数ヶ月前、中山美穂が自宅で急死した直後、Ai学会に海堂尊が怪文書を出していた(事情を知る人間からすると怪文書でしかない)。海堂尊はAi学会の立ち上げには関与しているが、法医学会の大学院生だった過去はなく*1、法医学会の内情に詳しいわけではない*2。その中で彼は、東大閥(岩瀬門下)と旭川医大・清水教授門下のスタッフ名をつらつらと挙げてこれは癒着だと騒ぎ立てるが、これは全くの間違いである。そのくらい人がいない、ただそれだけなのだ。人がいないから、全国集会ですら、大体みんな顔見知りの、内輪の会議になってしまう。東大も千葉大も人が沢山いてよろしい。田舎に行けばひと教室3人も医師が在籍していればよい方で、うっかりすると医師教員ひとりでせっせと解剖業務に当たっていたりする(某北の方の県とか)。というか海堂尊は、北の雄・東北大学の法医学教室が輩出した教授・スタッフの数を見たら卒倒するに違いない(reseachmapで各大学のスタッフが学位を取った場所を調べて確認してみてほしい)*3。
plaza.umin.ac.jp - これは事情をよく知る人が読むとただの怪文書ですが、言い得て妙な部分もある
*1:ネット上で公然の秘密なので書いておくが、放射線医学総合研究所重粒子センター病院の臨床検査科にいた医師である
*2:Ai学会=死後画像診断/オートプシー・イメージングの学会なので確かに法医業務と関わりはあるし、関連学会だが、法医学会とは一応別組織である