今回はずーーーーーーーっと放置していたあの記事の続きをやっと書きます。ごめんなさい。去年の9月から放置してたよ。気付いたら1年経ってたよ。やばい。本当にごめんなさい。しかも結局『ピンク色の研究』しかやってないし。Dlifeはそもそもチャンネルが消滅してるし。
mice-cinemanami.hatenablog.com
前回の記事では大体半分くらいご紹介した様子なので、残りをえいやっとご紹介したいと思う。……語り過ぎてうっかり第3弾を出さないように注意します。
- どうあがいても名前を覚えてもらえないレストレード
- ジョンの人となりを探れ
- 3枚のニコチンパッチは役者への配慮
- ドイツ語選択のホームジアンなら1度はやるよね
- 家内制手工業(?)『SHERLOCK』
- Dlifeでの放送までクリフハンガー
- 原作を読んでほしいという脚本家からのメッセージ
- もっとSHERLOCKを知りたくなった人向け
どうあがいても名前を覚えてもらえないレストレード
なつかしい! なつかしい! 本編も最早なつかしい!
筆者の個人的事情はさておき、大人しく紹介していきましょう。レストレードのファーストネーム問題だが、これはホームジアンの中で紛糾しているのを、脚本陣がおちょくった形になっている。彼の名前は何故だか「グレッグ」というのが通説のようになっているが、これは有名ホームジアンがそういう説を唱えているというだけで、物語中に出典があるわけでもない。ツイートした通り、短編『ボール箱』で彼がホームズに宛てた手紙から、イニシャルだけが分かっているが、それ以上の情報はどこにもないのだ。
9. レストレードの名前をシャーロックがやたら間違えるが、これは原作でレストレードのファーストネームがイニシャルしか分かっていないから。『ボール箱』で寄せる手紙からイニシャルが「G」だと判明している。#Dlifeでシャーロック
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) 2019年9月2日
レストレード警部と言えば、ヤードの刑事としては、原作中最多の登場回数を誇る(はずだったと思う)。そのため、映像化作品での登場例も多く、「ホームズものに出てくる刑事ならレストレード!」という人も多いのではないか。しかしながら、初出『緋色の研究』で一緒に登場したグレグスン*1、『四つの署名』に登場したアセルニー・ジョーンズはしっかりファーストネームが明かされているのに、レストレードはわずかにイニシャルが分かっているだけなのだ。
実は彼のイニシャルが分かった『ボール箱』という作品は、刊行の上でも面白い逸話を持っている。
ドイルがこの作品を発表したのは1893年のことで、本来ならばこの作品は第2短編集『シャーロック・ホームズの思い出』"The Memoirs of Sherlock Holmes" に収められるはずだった。しかしながら、かなりショッキングな展開から、ドイルは『思い出』刊行時にこの作品をカットしようと考える。実際英国版の『思い出』からはカットされたのだが、海を渡った向こう側、アメリカ版ではドイルの手が及ばなかった。というわけで、アメリカ版の『思い出』には初版のみこの作品が収められるという不思議なことが起きたのだった。
すったもんだを経て、幻の作品となってしまうはずだった『ボール箱』だが、時代が下った後、第4短編集『最後の挨拶』"His Last Bow" に収録されて日の目を見る。かつて時代にそぐわないとしてカットされた作品が再収録される頃には、ヨーロッパは第一次世界大戦直前となっていた……そんな時代の流れも面白いので、是非原作もお読みください。
そう言えばジェレミー・ブレット版*2のホームズも、『ボール箱』が最後の作品だったなあ。ブレットが病を押して出演しているのが痛い程明らかで、志半ばで逝去したことが見て取れるため大変悲しい最終話である。
ジョンの人となりを探れ
ピーッ! ぴしーっ! 語り過ぎ! 分量面でもう少し自制していこうと思います。ここではジョンの人となりに迫る小ネタをご紹介。
きょうだいはどんな人
12. ジョンのきょうだいについては『四つの署名』に記述あり。その話を知っているとラストの演出が大変憎い。#Dlifeでシャーロック
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) 2019年9月2日
これは『四つの署名』冒頭のくだりから引用。ホームズはワトスンから「最近自分のものになったばかりの懐中時計」を渡され、子細まで観察して「H・W」というイニシャルの長兄の形見であることを言い当てる。ワトスンの兄はずぼらな酒飲みで、時計は傷だらけだったのだが……この話を知っているかどうかで、ラストシーンを見ながらシャーロック側かジョン側どちらに立つかが決まるような気がする。
華麗なる恋愛遍歴
13. アンシアちゃんを口説くジョン。第2話ではもっとエスカレートするが、原作でワトスンの恋愛遍歴は「3大陸に渡るもの」とされている。アフガン戦争でアジアには行っているので、もうひとつはイギリスの植民地オーストラリアとするのが一般的。#Dlifeでシャーロック
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) 2019年9月2日
出会って初手でアンシアちゃんを口説くジョン。つれないアンシアちゃん、それでも口説くジョン。大分控えめに書かれているものの、原作でもワトスンの女たらしぶりがちらっと登場する。天性の女嫌いホームズとは大違いだ。この記述は第2作『四つの署名』冒頭でメアリ・モースタンが初登場するシーンにある*3。
「私は、多くの国々、三つの大陸にわたって婦人を見てきたのであるが、優雅で繊細な天性がこれほどはっきりあらわれている顔というものを、知らない。」
一方原作者のドイルがどんな感じだったかというと……その辺りは水木しげるの手により『神秘家列伝』にて明かされている。このシリーズ、ほんと変な人しか取り上げてなくてめちゃめちゃ面白いんだよなあ。
実は今だとそんなことできない
原作でも度々登場するワトスンの飛び道具ことご自慢の拳銃。しかしながら、現在のロンドンであんな風に拳銃を持ち歩こうものなら、一発アウトである。実はイギリス、なかなかに銃規制が厳しい国のひとつなのだ。貴族のスポーツと言えば狐狩りだけど、それ用のライフルと、ああいう拳銃はまるで扱いが違う。日本だっておんなじだよね。
というわけで、ジョンがああやって従軍時代の拳銃を手元に置いているのも、実際にはかなり難易度の高い行動のようだ。そこはゲイティスおじちゃんの筆と役のマジックに免じて目をつぶってやってください。
15. ジョンが銃を持っているのは原作通りの展開だが、実際のイギリスは日本並みに銃規制が厳しいという話も(笑)。そこはフィクションなので許してほしい。因みにワトスンの銃は『ソア橋』でよく分からない活躍をする。#Dlifeでシャーロック
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) 2019年9月2日
ワトスンの銃がよくわかんない働きをする『ソア橋』は最終短編集『事件簿』に収録されている。その他『四つの署名』、『三人ガリデブ』などでワトスンと拳銃にまつわる描写が出てくる。中でも『三人ガリデブ』で銃が登場するシーンはホームジアンにとっては胸熱の展開である。この作品も『事件簿』に収められている。
ちなみにジョンの銃はS1E3『大いなるゲーム』"The Great Game"でシャーロックにとんでもない使い方をされる。描かれる模様はニコちゃんマークに変わったが、このシーンも残念なことに原作準拠だ*4。
www.youtube.com - 「退屈! 退屈!」"Boring! Boring!"
ちょっと先取り
第2話をちょっと先取り。この「クラリネットが吹ける」ジョンいいよね。実は筆者もクラリネット吹きなので、このシーンは思わず一時停止して自分の壁紙用に写真を撮った(笑)。それはさておき、このシーンのジョンはGPとして働いている。GPというのは日本でのかかりつけ医みたいなもので、イギリスの保険制度・NHSのゲートキーパー的働きをしている。病院にかかりたければまずこのGPの診察を受けて、その上で外科への紹介とか、追加の入院加療とか、今後の方針が決まるのだ。日本みたいな飛び込み診療はNGで、電話してしっかり予約を取る必要があって、おまけに時間外は全然診察してくれないので、ある意味悪名高いシステムでもある(笑)。イギリスの医師は内科と外科で大きく分かれているので(詳しいことはドクタラーゼで)、ジョンはそっちを選んだんだなあと思うばかり。何ならパイソンズのグレアム・チャップマンは、大学で内科医の研修をしていて、「こんな世界やってられるか」と吐き捨ててコメディの世界に入ったくらいである*5。
8. 先取りだけど、クラリネットが吹けるジョンが出てくるのは第2話。このシーンでジョンはGP(イギリスの内科医でファーストタッチを担当する町医者)と判明。#Dlifeでシャーロック pic.twitter.com/kCe7MMMTJu
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) 2019年9月2日
しかしながら原作のワトスンは外科医として描かれている。……はずなのに出典が……と思っていたら、ナツミさんのブログにそういう記載があった。『入院患者』で明言しているんですね。いつも楽しみに読ませていただいております。『SHERLOCK』の原作オマージュを追っていくこのブログの内容は、ユリイカ2014年8月号でも紹介されている。
ユリイカ 2014年8月臨時増刊号 総特集◎シャーロック・ホームズ - コナン・ドイルから『SHERLOCK』へ -
- 作者:ベネディクト・カンバーバッチ,マーティン・フリーマン,スティーヴン・モファット,マーク・ゲイティス,三谷幸喜,池内紀,東山あかね,日暮雅通,辻村深月
- 発売日: 2014/07/15
- メディア: ムック
3枚のニコチンパッチは役者への配慮
14. シャーロックがニコチンパッチを3枚貼っているのは、原作の「(タバコ)三服分の思考」に相当。カンバーバッチはコメンタリーがどこかで「タバコをあまり吸いたくなくて」という趣旨の発言をしている。ただしS3E3では兄弟揃って仲良く吸っているシーンがあり。#Dlifeでシャーロック
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) 2019年9月2日
これ、コメンタリーでカンバーバッチが喋っていたのは覚えているのだけれど、結局どこで言っていたのかすぐには思い出せない。『SHERLOCK』では脚本のモファティスを中心に、豪華メンバーによるコメンタリーが収録されているのだが、これがまたなかなかに面白い。レンタル版や廉価版には収録されていないのが勿体ないところだが、機会があればお聴きいただきたい。
シャーロックの特徴的なくるくる頭も、実はカンバーバッチの地毛を染めて、パーマを当てて作ったもの。S2E1『ベルグレービアの醜聞』のコメンタリーでは、その頭をキープするため、ケチャップを塗ってラップ巻きにされたというトンデモエピソードまで登場する(笑)。
因みに「煙草三服分の思考」というのはホームジアンには大変有名な句であるが、それが登場するのは第1短編集『冒険』所収の『赤髪連盟』のようだ。
ドイツ語選択のホームジアンなら1度はやるよね
原作『緋色の研究』を読んだ方なら誰でも知ってるエピソードを、意地悪なモファティスは少しひねくれた形で引用。原作では「これはレイチェルという女だ!」と騒ぎ立てる警察を尻目に、ホームズが「ドイツ語で『復讐』という意味ですがね」とシニカルに斬り捨てる場面だ。第1作の序盤で、ホームズがスコットランド・ヤードの刑事たちより何倍も切れ者だと示す、大変鮮やかな描写である。
16. (最初の事件に戻ります)現場でアンダーソンが「Racheはドイツ語の『復讐』で〜」とひけらかし始めるが、これは『緋色の研究』を踏襲。現代版ではかの有名なくだりをわざと逆転させて使っている。ドイツ語選択だけど、正直こんな単語どこで覚えるんだろうと思う #Dlifeでシャーロック
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) 2019年9月2日
ところで筆者、大学の第2外国語がドイツ語なのだが、そりゃあまあ、授業中暇があれば、調べますよね。ラッヘ。
【Rache [r'axə]】 - [女] 復讐, 仕返し, 報復(<英>revenge) - アクセス独和辞典 第3版 三修社
英語とドイツ語は同じゲルマン語系なので、結構な単語が似通っている。haveとhabenとか。isとistとか。でも、revengeとdie Racheはあんま似てない単語なので、勉強してないと出て来ない。シャーロックから「お前がいるとIQが下がる」とぼろくそにこき下ろされるアンダーソンだが、これ見よがしにドイツ語の知識をひけらかせるんだから、そんなにおバカでもないのかもしれない(?)。*6
家内制手工業(?)『SHERLOCK』
『SHERLOCK』の出演者たちは、家族関係だったり友人関係であちこち繋がっていることで有名だ。ハドスン夫人役のスタッブスにはこんなほっこりエピソードも。あの時見たちっちゃい子が今や主役なのよ! と近所のいいおばちゃんみたいなテンションで可愛らしく語っていた。
そんなワンダママとティモシーパパが登場するのはS3E3の『最後の誓い』とS4E3の『最後の問題』。S3ではフリーマンと長年交際していたアマンダ・アビントンが登場する(S4ネタバレ解説はこちら☞)*7。S3E3の『最後の誓い』で幼き日のシャーロックをルイ・モファットが演じた時には「流石に……(笑)」感もあった。彼は脚本・製作総指揮のスティーヴン・モファットと、製作でシリーズを支えたスー・ヴァーチューの息子だし、母方の祖母ベリル・ヴァーチューも製作で名を連ねているからだ。
17.ハドスンさん役のユーナ・スタッブスは、カンバーバッチの母親ワンダ・ヴェンサムと仲が良く、彼が子供の頃に家を訪ねたこともあったという。そんなワンダママはS3E3でシャーロックママとして登場。#Dlifeでシャーロック
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) 2019年9月2日
18.(承前) 今後は演者の家族にも注目。シャーロックの両親を演じるのはカンバーバッチの実の両親ティモシー・カールトンとワンダ・ヴェンサム。ジョンの妻はマーティの当時のパートナーだったアマンダ・アビントン。そして幼シャーロックを演じるのはモファットの息子ルイ #Dlifeでシャーロック
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) 2019年9月2日
www.youtube.com - シャーロックに合わせてくるくる頭……というより親父さんもくるくるか
Dlifeでの放送までクリフハンガー
今や亡きDlifeを語ってもしょうがないのだが、この時の放送は、ジョンがアンシアの車で傘おじさんに会いに行くところまでが前編として放送されていた。傘おじさんの正体は物語の最終盤で明かされるため、放送は「何かジョンが黒幕っぽいおじさんのとこに行った」で終了する作りとなっている。ところで『SHERLOCK』は全シーズンクリフハンガーで終わることがお約束だったが、現時点での最新回であるS4E3ではそういった構成が盛り込まれず、「これで終わってしまうのか……」とファンが嘆いた話もありましたねえ。お願いだから続き作ってね。
えっ本編観ずに小ネタ流してたんだけど、Dlifeの放送、1話前後編に分けちゃうの。本編までクリフハンガーなのは草(SHERLOCKは基本的に毎シーズンクリフハンガーです)
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) 2019年9月2日
原作を読んでほしいという脚本家からのメッセージ
19. 脚本は公式には販売されていないが(正確には以前S1E2の脚本がBBC公式でダウンロードできた)、これは脚本陣ふたりからの「原作こそ読んでほしい」というメッセージ。と昔読んだのだが、どこに書いてあったのか分からない。ただしイギリスでは放映後原作の売り上げが伸びた。#Dlifeでシャーロック
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) 2019年9月2日
これ、出典全然探せないんですけど、本当の話なんですよ。捏造じゃないからね。原作の売り上げが伸びたとこまで実話だからね。『シャーロック・クロニクル』(後述)を隅から隅まで呼んでも出て来ないから、多分コメンタリーで聞いた話なんじゃないかと思う。ハヤカワのミステリマガジンではないと思う。知りたい人はモファティスがけらけらしながら語ってるコメンタリーを是非聴いて下さい。
現代版として大きくブラッシュアップされた『SHERLOCK』。根っからのホームズギークである脚本家のモファティスは、原作こそ至高なので是非読んでもらいたいという立場を取っている。脚本を出版しないのかという話はあるそうだが、頑なにそれを拒むのは、この作品を入口にドイルの原作に触れてほしいとの想いがある故だ。実際イギリスではカンバーバッチとフリーマンが表紙にあしらわれた原作本が出版されて、なかなかの売り上げを博したとか。
Sherlock: A Study in Scarlet (Sherlock (BBC Books) Book 2) (English Edition)
- 作者:Doyle, Arthur Conan
- 発売日: 2011/09/15
- メディア: Kindle版
モファティスの見事な手腕で現代に蘇ったホームズ物語だが、S4E0として製作された『忌まわしき花嫁』"Abominable Bride"では、ヴィクトリア朝らしく振る舞う登場人物たちの姿を通して、逆行性に原作の世界を垣間見ることができる。実はS4E0は単発作品でなく、S3を観ていないとネタバレ満載になってしまうのだが、その質故に寡作なシリーズなので、放送済の全13.5話を追いかけて、S4E0に到達していただきたいと思う*8。
20. シャーロック、ジョンは「ベーカー街221B」を(two two one B)と発音するが、ヴィクトリア朝SP忌嫁(S4E0)では、「二百二十一ビー」(two hundred and twenty one B)と発音している。忌嫁は現代版との違いを観るのも面白い。#Dlifeでシャーロック
— ふぁじっこあなみ (@mice_fuz_anami) 2019年9月2日
もっとSHERLOCKを知りたくなった人向け
この記事でもちらちらと登場していたけれど、実は『SHERLOCK』には公式YouTubeアカウントがある。各話の名シーンを抜き出してクリップにしたり、撮影の裏側を教えてくれたり、キャストの対談動画があったりするので、英語のお勉強がてらどうぞ!
公式本としてはスティーヴ・トライブが書いた『シャーロック・クロニクル』がオススメ。発行は2014年なので、内容的にはシーズン3までしかカバーされていないが、それでも納得の分量である。キャストの略歴や、原作との対比、モファティスの舞台裏回想記などもあるので、ファン必携の1冊!
関連:SHERLOCK / シャーロック・ホームズ / ジョン・H・ワトスン / マイクロフト・ホームズ / ベネディクト・カンバーバッチ / マーティン・フリーマン / ルイーズ・ブリーリー / ユーナ・スタッブス / ルパート・グレイヴス / ジョナサン・アリス / ヴィネット・ロビンソン / ポール・マクギガン / スー・ヴァーチュー / ベリル・ヴァーチュー / スティーヴン・モファット / マーク・ゲイティス / BBC
*2:古今東西のホームズもので最も素晴らしい演技と言われる、正統派ホームズの決定版。1980年代からイギリスのグラナダTV(現在はITVに吸収合併)で制作された
*3:余談だが『SHERLOCK』で『四つの署名』を題材とした作品を見るにはシーズン3まで待たねばならない
*4:退屈したホームズが221Bの壁に連射で模様を書いたという記述は『マスグレーヴ家の儀式』に収録されている。この時ホームズが書いたのは「VR」という文字だったが、これは当時君臨していた「ヴィクトリア女王」を意味するイニシャルである。作品は第2短編集『思い出』に収録☞
*5:実は昔イギリスの医師免許を取ろうかなと思ったこともあるのだけど、IELTS受けるにはパスポートが要るし(海外に行きもしないのに)、イギリスはGPが前面に出てくる一方で筆者は圧倒的に外科系なので、「んなのやって(ry」と卓袱台を返して諦めた記憶がある。
*6:どうでもいい話だけれど、人体には有窓性毛細血管というやつがいる。英語では"fenestrated capillaries"だ。一方でドイツ語の「窓」は"das Fenster"と言う。これに気付いた時は「うおおこれドイツ語由来なんだ」と思って歓喜したものだった。でも全く役に立たない(笑)。
*7:アマンダ・アビントン演じるメアリーはS4で退場を余儀なくされるが、実はS4の放送直前に、フリーマンとアビントンは長年のパートナー関係に終止符を打っていた。16年ほどのパートナー生活の間には2子に恵まれ、フリーマンから「結婚してるかはお茶を濁しとこうね」との発言もあったくらいだが、結局は事実婚のままsplit upした。ふたりの別離はS4放送直前に出たインタビューで明かされ(フリーマンの分、アビントンの分)、ファンは大変複雑な気持ちでS4を観ることになった。
*8:本エピソードはシーズン4まで3話ずつの12話があり、番外編としてS4E0の忌嫁、またS3E0の短編『幸せな人生を』"Many Happy Returns"が存在する。この作品も語られざる事件が登場したり、ホームジアンには楽しい作りなのだが、S2E3『ライヘンバッハ・ヒーロー』まで観ていないと話の意味が分からないという辛さが……