ちいさなねずみが映画を語る

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まっすぐは合わなくて、曲げると苦しい - 映画『すばらしき世界』

数ヶ月ぶりに公開初週に映画館へ行って、ある映画を観てきた。作品名は『すばらしき世界』西川美和監督が4年ぶりに送る新作映画である。主演には監督が今ならお願いできるかな、と満を持して迎えた役所広司。殺人の罪で13年間収監されていた元ヤクザの男が、「今度ばっかりは、カタギぞ」と決意して出所するも、シャバで数々の生きにくさを痛感する……という作品だ。

wwws.warnerbros.co.jp - キャッチコピーは、「この世界は生きづらく、あたたかい。」

ネタバレ無しのあらすじ

三上正夫(演:役所広司)が13年ぶりに旭川刑務所を出た。自宅に上がり込んできたチンピラを斬り殺し、殺人罪で収監されていたのだった。「今度ばっかりは、カタギぞ」と独り言ちて東京へ向かうが、元ヤクザだった前歴が邪魔をし、定職に就くどころか生活保護を受けるにも大きなハードルが横たわる。三上が自らの権利として書き写した「身分帳」*1を元に、彼の母探しの番組を手掛けるとして若き元テレビマン・津乃田(演:仲野太賀)が近付いてくる。しかしながら、津乃田の目的はいつしか三上自身を追うことにすり替わり、その中で津乃田は三上の生き様を追う恐ろしさにも気付いてしまうのだった……

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!!! SPOILER ALERT! SPOILER ALERT! SPOILER ALERT! !!!
※この先には物語の核心に迫る記述があります。新鮮な気持ちで映画を観たい方はご遠慮下さい※

 

 

 

西川美和監督が、満を持して迎えた役所広司

ふとテレビで監督のインタビューを観たことがきっかけで、映画館へ足を運んだ。NHK『あさイチ』で行われたそのインタビューで西川監督は、やっと役所さんにお願いできる作品だと感じた、ということを話していた。彼が日本どころかアジアを代表する名優であることは明らかな事実であるが、この作品は彼のフィルモグラフィにまたひとつ加わった代表作なのではないかと思う。

www.youtube.com - シネマトゥデイのインタビューでも、役所の起用はここぞという時の切り札、ということを語っている

 

本人の自覚しない狂気だからこそ、恐ろしい

この作品を観終わって最初に思ったのは、役所広司は定期的に無名塾*2出身であることを思い起こさせる役をやるよな、ということだった。元々シリアスコミカル何でもござれで、演じられない役は無いのでは、と思うほど引きだしの多い俳優なのだが、今作のような狂気を秘めた役を定期的に演じているような気がする。そしてその狂気は、いつもどこか「本人の自覚しない狂気」という枠組みの中にあって、ごく自然なだけに余計恐ろしい。

www.sankei.com - この記事でも西川監督が同様のことを語っている

 

役所の狂気の演技については既に『渇き。』('14)の記事で触れているが、今回彼が演じた三上の人物造型は、どちらかと言えば大河ドラマ『いだてん』('19)の嘉納治五郎役の方に近いと思う。本人は自分の行動こそ正しいと思っているが、その行動規範は世間のそれと大きくずれていて、周りをぐるぐると振り回す。『いだてん』の嘉納は体協で無双していたが、今作の三上はチンピラ殺しを反省してもいないし、出所後もふとしたところでリンチ騒ぎや怒鳴り込みをしでかして、仲野太賀演じる津乃田の心を震え上がらせる*3

mice-cinemanami.hatenablog.com - 先述の記事

 

三上のことを「静かに狂っている」という言葉で片付けるのは簡単だが、それは絶対に間違っていると思う。津乃田が途中三上に電話で告げるように(後述)、三上のこの倫理観というのは、彼の生い立ちの中で醸成されてしまったものだ。「喧嘩のまーちゃん」と呼ばれていたように、彼にとって喧嘩で相手を叩きのめすことは自然なことだった。その流れで少年院に入れられ、塀の中でも外でも騒乱を起こし続けた彼にとって、ヤクザの道に進むことは至極当たり前で、途中彼が漏らすように簡単なやり方だったのだろう。根は悪い人物でないが、その人生の中で身に着けた解決方法が、社会規範の中では「犯罪」と呼ばれるものだったのである。

 

西川監督はそういう三上の姿を丁寧に描いていた。例えば彼がスーツでスーパーに来るシーン、身元引受人となった庄司の妻・敦子(演:梶芽衣子)からミシンを譲り受けてトートバッグを作るシーン、そして福岡に帰って子どもたちと無邪気に遊ぶシーン。その姿はどう見てもただの善良な市民である*4。しかしながら、途中カツアゲに遭った中年男性を救ったところで、我々は三上の狂気を目にすることになる。カツアゲを仕掛けたチンピラふたり組を叩きのめし、返り血で真っ赤になった歯を見せながらにやりとする三上。津乃田の側に立つか三上の側に立つかで見え方がまるで異なってくるシーンである*5

mi-mollet.com - この記事では役所がカツアゲのその後……シーンについて語っている

実は「近いからこそ難しかった」博多弁

三上の本籍地は群馬だが(この設定は佐木隆三の原作ルポルタージュを踏襲している)、元々は福岡出身という設定である。劇中でも彼の訛りが強くなって居場所を悟られるという描写があるが、実は役所にとっては少しめんどくさい設定だったらしい。何を隠そう、役所は長崎県諫早市の出身なのだが、お隣福岡のお国言葉は、「近いからこそ難しかった」のだという(先述の『あさイチ』で西川監督談)。

 

同じインタビューで西川監督が語っていたところによると、役所は特殊メイクで肩の彫り物を仕上げてもらう間、福岡出身のスタッフと喋りながら、訛りの演技を仕上げていったらしい。仕上がりは司会として出演していた博多華丸・大吉に太鼓判を押されていたが、いくつになっても彼の演技への熱意は衰えないのだろうな……と思う(丁度『いだてん』の嘉納治五郎のように)。

 

名優たちを脇役として使える贅沢さ

主演の役所広司のことばかり書いてしまったが、この作品で真に光るのは、名優たちを惜しげもなく脇役として使える贅沢さだ。三上を追う元テレビマンの津乃田(演:仲野太賀)をはじめ、多くの名優たちが登場している。

www.oricon.co.jp - ちなみに仲野の起用も今だな、と思ったタイミングだったそう

 

まず三上の身元引受人となった庄子夫妻には、橋爪功梶芽衣子。ふたりの柔らかな雰囲気は、現実で三上のような人物を引き受けるのもこういう人たちなのだろうな、と思わせる説得感がある。仕事が決まった三上のため、梶演じる敦子が『上を向いて歩こう』を歌い上げるシーンなんて最高だ*6。一方で、助けを求めに来た三上が、孫の誕生会なのだからと門前払いされてしまうシーンも、いくら善意でも限りがあると示すリアルなシーンである。

 

東京で三上の生活を支えるケースワーカーの井口には北村有起哉。どこか胡散臭い役とか(『アンナチュラル』の宍戸とか)、飄々としたところのある役が似合う役者だが、杓子定規な回答しか出来ない小役人的なこの役もぴったりだったと思う。個人的には、本当にチョイ役なのだが、運転免許センターの窓口で三上の恫喝にも怯まず淡々と仕事をこなす婦人警官として、山田真歩(『花子とアン』宇田川満代役など)が出ていたのが本当によかった。『架空OL日記』の酒木さん役が大好きなので……

mice-cinemanami.hatenablog.com

三上は途中、東京での生活に息苦しさを感じて、かつての仲間を頼り福岡へと逃げ帰る。この時ヤクザの親分として白竜が登場するのはただただずるすぎる(笑)。そしてその妻として登場するキムラ緑子も説得力があり過ぎる。このシーンはヤクザとして生きる厳しさ(時代の締め付け)、ヤクザ以外の道がない厳しさを両方描いているはずなのに、ふたりの登場で笑わされてしまうのだった(勿論どんぴしゃに似合っているからこその笑いである)。

 

そしてこの作品で真に褒めるべきは、長澤まさみをあのチョイ役で出演させたことだろう。彼女が演じる吉澤は、冒頭津乃田に取材を勧め、途中三上と会食をするシーンに登場するが、意外にもその後の登場は電話の声くらいである。デビュー以来多くの主演作を張ってきた長澤だが、大河ドラマ真田丸』に出演して以来、コミカルで魅力的な脇役もこなすようになってきた。そんな彼女を、(津乃田の)物語を大きく回しながらも、意外に出番の少ないあの役で出演させたことは大きなことだと思う。

 

出所者の社会復帰の難しさ

この作品の1番のメッセージは、刑務所から出て来た者の社会復帰の難しさだ。作中でも、三上がまっとうに生きることに苦しみ、ついついヤクザの道に戻ってしまいがちだったことがつぶさに描かれている。ミシンをはじめ刑務所で身に着けた技術はいくつもあるが、敦子が指摘するように、そのほとんどがシャバの仕事には結びつかないものだった。三上は運転免許の再取得にも手こずる始末で、仕事を得るのすらままならない*7。筆者がぐだぐだ書くより、監督が既にインタビューでそういうことを語っているし、作中でも津乃田のモノローグという形で再犯率の高さについて触れられている。

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筆者は昔から石井光太氏のルポルタージュが好きなのだが*8、彼が川崎の河川敷で起きたリンチ殺人事件を追った記事でも同じようなことが書かれていた。残忍な事件を起こしておきながら、加害者の少年たちは裁判で反省する素振りもなかったと綴られている。被害者の父が語る、少年院で暫く過ごしていれば自由になれるのだ、という無念の言葉と、石井が付け加えた出所後の再犯率が、三上の姿に重なってしまう。作中の三上は六入十犯で、最初の刑は14歳の頃に遡ると語っている。冒頭の出所シーンで分かる通り、彼は刑期を満了しても、相手の命を奪ったことを反省していない。彼の中では筋の通った行動だったのかもしれないが、先述した通り、そのやり方は世間のそれとは大きくずれているのだった。

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振り返って刑務所での矯正教育というのは難しい問題だと思う。刑務官として勤務する人々が全員非行者教育や犯罪心理学に長けた人物とは思えないし、刑務所であるが故に高額なものは使えないという事情もある。軍隊のような規律は、受刑者たちを統率するための手段だが(三上にも刑務所式が深く染みこんでいるようだ)、それで受刑者たちの心まで「矯正」できるわけではない。

加えて、近年ではこういう受刑者の一部に、大きな認知の歪み(☜精神科用語)であるとか、パーソナリティ障害を持つ者がいることがこぞって取り上げられている。作中津乃田が電話を掛けるように、その原因は生い立ちにあることもある。彼がどさどさと積み上げた本の中には入っていなかったが、筆者には宮口幸治氏の『ケーキの切れない非行少年たち』という本が思い起こされてならなかった。宮口はこの本の中で、少年院にやってくる子の中に、情報処理が著しく苦手でそのために認知の歪みを起こしている者がそれなりにいることを告発している。普通ならそうは解決しない出来事でも、この"歪み"が元で、非行や犯罪へ走ってしまうというのだ。映画は2020年1月には撮了していたというので、直前(2019年7月)に刊行されたこの本は事前リサーチから滑り落ちてしまったのだと思うが*9、三上の人生はこの本で書かれたことをなぞっているように思えてしまう。*10

mice-cinemanami.hatenablog.com - 1年前に書いた拙記事です

 

(だいぶ余談なのだが、三上がうるさい階下の入居者に怒鳴り込むシーンで、ヤクザをやっと足抜けした男と、彼が仲介して働きに出ている外国人労働者たちが登場するというのが、西川監督の感覚を表しているような気がした。この作品では三上が絶対的な主人公として現れるが、三上のほかにも、社会の中心からあぶれ、苦しい生活を送っている"弱者"がいる。監督はそういった人々にも均等に視線を向けているのである)

 

【ネタバレ】ラストシーンの表情

※この先には物語の結末に触れる記述があります※

mi-mollet.com - よい対談インタビューだったので前編も是非読んで下さいね

cinema.pia.co.jp - このインタビューも切り口が他と違っていてよかったです

 

 

この作品は西川監督が佐木隆三の残した『身分帳』という作品に惚れ込んで製作した映画である。殺人罪で13年の収監を経た男が、社会に戻ってひたすらもがくという作品だ。取り上げているテーマが受刑者の社会復帰だし、主人公・三上を追うのが元テレビマン*11の津乃田ということもあり、枠組みとしては社会派作品になるのだと思う。しかしながら、西川監督の脚本は、陰鬱な問題提起作品というよりは、コミカルで、どこか温かいものに仕上がっている気がする。実際劇場でもちらほらと笑い声が上がっていたように感じた*12

 

西川監督がこの作品の結びに用意したのは、キャッチコピーである「この世界は生きづらく、あたたかい。」を体現するような、静かな終わり方だった。あのラストは、三上の人生を追ってきた観客側に様々なことを思い起こさせる。その上で、この作品のタイトルが、映画が始まってから初めて画面上にぽんと現れる。本当によく出来た映画だ。

 

三上の就職が決まった時、敦子は彼にこんな言葉を掛ける。あなたはきっとまっすぐ過ぎるのね、だけど、かーっと来ることがあってもそっと胸の中にしまうのよ、わたしたちだってそうやって生きてきているのだから、と*13。ところが就職先で、彼は知的障害があり前科持ちの同僚が、別の同僚たちにいじめられている姿を目撃してしまう。ここで今までの三上なら取っただろう行動と、実際の姿が両方描かれるのがとてもよい演出だ。前者で観客に「三上はあちら側に戻ってしまったのか」と慌てさせ、後者で文字通り胸をかきむしられそうに苦しむ三上の姿が描かれる。三上のまっすぐは社会に合わなくて、それを曲げると死にそうに苦しいのである。

 三上が冒頭から折に触れ飲んでいた薬はニトロなのだろう*14。三上はこの一件があったその夜、吹きすさぶ嵐の夜に、いじめを受けていた同僚から受け取ったコスモスの束を手に、静かに命を落とすのだった。しかしながら、その顔はどこか穏やかで、笑っているようにも見える。監督はこの顔の解釈を観客に委ね、静かに作品を終わらせる。

 

ここから先は筆者の勝手な解釈なのだが、三上はきっと、敦子の言うような生き方ができて、今日は満足だった、と思って眠りに就いたのではないだろうか。その日彼が命を落としたことは単なる運命の偶然であって、昼間の一件とは関係が無い。だからこそ三上は、あれだけ穏やかな顔で旅立っていったのだと、そう信じている。ヤクザの仁義で生きてきた三上にとって、「善良な市民」として見過ごすことは、胸をかきむしるほど辛いことだ。それでも彼は、周りの一般市民と同じような行動ができたことに、ひとつ喜びを覚えていたのではないかと思うのだ。

 

おしまい

映画『すばらしき世界』は2021年2月11日(木祝)公開。公開から10日あまりということで、まだまだ上映回数も多めだと思う(劇場情報はこちらから - 「映画館に行こう!」)。是非劇場でこの作品を観ていただきたい。

 

西川監督が惚れ込んだ佐木隆三による原作『身分帳』は、1990年に出版された作品だ。長らく絶版になっていたそうだが、映画化が決まり講談社文庫から復刊されている。こちらも合わせて手に取ってほしい。純粋にこの作品をレビューしたかったので敢えて読まずにいたが、筆者もこれから読み進めたいと思う。

身分帳 (講談社文庫)

身分帳 (講談社文庫)

 

 

関連:すばらしき世界 / 西川美和 / 役所広司 / 仲野太賀 / 橋爪功 / 梶芽衣子 / 六角精児 / 北村有起哉 / 山田真歩 / 白竜 / キムラ緑子 / 長澤まさみ / 安田成美 / 佐木隆三 / 身分帳

*1:収監の際に経歴や前科、裁判の内容をまとめた帳面で、刑務所に保管されている。西川監督が原案とした佐木隆三の作品も『身分帳』というタイトルである

*2:仲代達矢が妻・宮崎恭子と立ち上げ、現在に至るまで舞台演劇の名門として知られる養成所。役所はこの無名塾の第2期生である

*3:そう言えば仲野太賀は『いだてん』に小松くん役で出ていたっけ……(金栗四三の弟子として九州から上京してマラソンに励むも、世界に羽ばたくこともなく第二次世界大戦に従軍し……という役。金栗四三の幼少期から1964年の東京五輪に至るまでを描いた群像劇の中で、数少ないオリジナルキャラクターのひとりである)

*4:筆者は三上がスーツで現れるシーンで「いや役所広司役所広司じゃないか」と思ってくすくす笑っていた(役所の芸名は元々役所勤めだったことに由来している)。

*5:個人的にはこの後長澤まさみ演じる吉澤遥が言うメディア論が好きだったのだが、ここまで書くとネタバレ過ぎるので、どうか劇場で確かめてきてほしい

*6:このシーンでスーパーの店長・松本役である六角精児が、ギターの腕前を披露していたのにもくすりとさせられたけれど

*7:一発試験の様子はマーチの劇伴まで付いて大分コミカルに描かれていたが、ワイパーとウィンカーを間違える描写について、左ハンドルの外車を回していた証拠ではとコメントが付いていて膝を打った。初見では何とも上手くいかねえなあという笑いで済ませてしまっていたが、そういうことだったか……

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*8:こういう時期だから思い出してならないのだが、進路をはっきりと決めたのは氏の『遺体 震災、津波の果てに』という本である。このルポルタージュでは、東日本大震災で多くの津波死者が出る中、釜石とその周辺で奔走した警察医や行政職員などの声が納められている☞

遺体: 震災、津波の果てに (新潮文庫)

遺体: 震災、津波の果てに (新潮文庫)

  • 作者:石井 光太
  • 発売日: 2014/02/28
  • メディア: 文庫
 

*9:なんせ西川監督はこの作品を作り上げるまでに5年の歳月を費やしているので☞

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*10:【追補】三上は幼い頃母親と離ればなれの生活を送り、児童養護施設で育っていた。津乃田はその生い立ちが三上の人格形成に影を落としているのではないかと語るが、これはれっきとした研究結果に基づいた台詞だ。近頃読んだ本がそういう話を取り上げていたので、紹介しておきたい。アン・W・スミスの書いた前者は、(アルコール依存症患者の子どもに絞りすぎている感は否めないが)、そうした人格障害[パーソナリティ障害]が、次世代の子どもたちの人格にも影を落とすと指摘した本である。岡田尊司による後者は、幼い頃に親と適切な愛着を形成できなかった子どもたちが、成長してから非行や摂食障害など、様々な問題を抱えるようになってしまうと綴った本だ。どちらも身につまされる本なので、読み進めるのはなかなか胸が苦しいが、『すばらしき世界』の作品世界を理解する上でも、是非手に取っていただきたい。

アダルト・チルドレンの子どもたち:もう一つの共依存世代

アダルト・チルドレンの子どもたち:もう一つの共依存世代

 

*11:この記事ではしつこく「元」と書いたが、津乃田はテレビマンという仕事から足を洗って作家になりたいのだと吉澤に告げている

*12:個人的にはスーパーで万引きを疑われた三上が、刑務所ばりに一切合切脱いで潔白を証明しようとしたシーンに笑わされてしまった。勿論これは冒頭の出所シーンがある故に成立するのだが、役所が三上という人物を大真面目に演じているだけに、余計コミカルなシーンになっている

*13:細かい言い回しは観てきて10日くらい経っているので、色々間違っているだろうが許してほしい

*14:=硝酸薬。狭心症症状の際に頓服すると、血管を拡張させて心筋への血流(冠血流)を増やすことができる。三上が極度の高血圧であることは序盤で示されているので、不安定狭心症を抱えていたというのはおかしくない病歴だと思う。因みにラストで駆けつけた警察たちが「行政解剖をしないと本当のところは分からないが」と述べるが、三上のようなケースが行政解剖に回されるのも現実通りである

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