ちいさなねずみが映画を語る

すきなものを好きなだけ、観たものを観ただけ—

首里城だけじゃない、琉球文化を学べる施設 - 沖縄観光の助けに

首里城火災のニュースがあって、在りし日の様子をブログでまとめてみた。地元の人たちの悲痛な声が溢れていたのは言うまでもないが、ネット上では沖縄を訪れたのに火事があって首里城を観に行けなかった、という人の声も散見された。国営公園は休園しており(首里城公園プレスリリース)、守礼門・歓会門までしか入れないという(同じ方のツイートによれば、県で管理している円覚寺跡も立ち入りが規制されているという)。これだけの被害があれば当然のことではあるが、観光で訪れていた方には落胆も大きいと思う。そんな方のために(?)、文化の日特別企画*1として琉球文化を学べる施設を勝手にご紹介したい。

mice-cinemanami.hatenablog.com

*1:文化の日は日本各地の博物館・美術館の常設展チケットが無料になることでも有名だが、まあ、何というか、こういう記事を文化の日に出してる時点でダメ。

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在りし日の再建首里城

首里城が全焼した。

朝起きて悲痛な声にTLを遡ってみたら、あの壮大な城が燃えていて、半時間経ってテレビを付けたら正殿が無残に倒壊していた。先日の台風19号とその翌週の豪雨災害といい(こちらは天災だが)、この話といい、令和の世にこんなことが起きるのか、という言葉しか無い。

 

このブログでは主に映画記事ばかり書いてきたが、筆者は実のところお城大好き人間である。中でも沖縄の城 (グスク) は、石組みや建物の構造が本土の城とは全く違っていて、正直どこに行っても見飽きるということがない。琉球文化が本土の歴史とは切り離されて独自に発展してきたことを伝える貴重なものである。中でも首里城は、空港から繋がるゆいレールでアクセス抜群だし、正殿に至るまで琉球独自の曲線美が光る石垣を見ながら歩くことができ、石垣大好き人間の筆者としては筆の止まらないほど美しい場所である。再建とはいえ(後述)、かつて琉球王国の中心だった正殿を復元した有料エリアは、その巨大さと極彩色に圧倒される空間でもあり、それが見るも無惨な姿に変わり果てているのは、ただの城マニアとしても心が痛む話だ。

 

火事の一報を聞いて昔の写真を振り返っていたところ、御差床(いわゆる玉座)をはじめとした華麗な復元物に目を見張る一方、今回の被害も……と思わされた独特の構造なども目についてしまい、ため息をついてしまった。せっかく撮っていた写真なので、再建首里城の中に入ったことのない方にご覧いただき、報道を見ながら考える材料にしていただきたい。

でも、こんなことなら、万難を排してでも御内原エリア*1を見に行くんだった……涙

www3.nhk.or.jp

*1:正殿の奥に整備されていて、今年2月に一般公開が始まったばかりだった新エリア。本土の城の大奥に相当するような空間で、女官たちが暮らす生活の場だった。報道写真を見る限り御内原エリアの建物は焼損を免れたようだが、倒壊・全焼した建物の撤去、また再建を考えると、何年も見られないことは想像に難くない☞

www.asahi.com

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爪弾きにされた悲しきクラウンの物語 - 映画『ジョーカー』

この作品がヴェネツィアに出品された時、DCコミックス発の異色作が、まさか金獅子賞に輝くと思った人は誰もいなかったのではないか。そんな『ジョーカー』"Joker"を観てきた。トッド・フィリップス監督が口説き落としたホアキン・フェニックスが、怪優としての真骨頂を見せている。一方で、共演者にネズミを贈ったジャレッド・レトとは違い*1ホアキン版で表現されたのは、社会から爪弾きにされた悲しきクラウンの姿であった。今回は主人公アーサー・フレックの人となりに絞って、この映画の世界を深掘りしてみたいと思う。

www.youtube.com

今回、できるだけネタバレは無しでお送りしたいが、ふとしたことで核心に触れる可能性があるので、新鮮な気持ちで作品を観たい方はUターンしていただきたいと思う。

*1:この話は『スーサイド・スクワッド』('16)撮影中の実話☞

eiga.com

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#Dlifeでシャーロック 『ピンク色の研究』まとめその1

今週のお題(出典探してるうちに先週になった)は「老いも若きもたのしく研究」ということで、「わたしの自由研究」だそうな。大人になって研究するなんてそんなもの……

 

ありましたわ。

dlife.disney.co.jp

実は筆者、このブログでは必死に隠していたけれど、筋金入りのホームジアーナ。現代版としてヴィクトリア朝を舞台としたドイルの原作から大きく姿を変えていても、脚本陣の原作愛とギークぶりが隠しきれない『SHERLOCK』はお気に入りドラマのひとつだ。この度、吹替版がBS無料放送局・Dlifeで放送されるということで、何度も観ているのにわくわくどきどきしてしまった。今週月曜日9月2日には、第1話『ピンク色の研究』の前編が放送されたが、それに合わせて流していた小ネタツイートをまとめておこうと思う。

——今週のお題「わたしの自由研究」※最早先週のお題

 

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祝!2周年、ボラプボーイズ

映画『ボヘミアン・ラプソディ』の公開から早1年近く。日本ではボラプを仕上げたデクスター・フレッチャー監督によるエルトン・ジョンの自伝劇『ロケットマン』も公開された。プロモーションで来日したフレッチャー監督によれば、ガイ・リッチー版ホームズ第3作の監督として正式決定した(THE RIVER)ということで、話題作続々で楽しみなキャリアである。

www.youtube.com - 8月23日日本公開!

一方、ラミ・マレック出演の007最新作も、先日公開日とタイトル ("No Time To Die") が発表されたばかり(ファッションプレス)。リアル・クイーンはクイーン&アダム・ランバート(QAL)で絶賛世界ツアー中(ロジャー・テイラー公式Instagramより)。ルーシー・ボイントンの次回作となる "The Politician" も、Netflixでの配信日が9月27日に決定した。

www.instagram.com

そんな風に出演者たちの新情報続々の中、愉快な35歳児ことマッゼロおじさんが投稿したのは、まさかのヨーロッパ遠足旅行の写真だった……

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役所広司の役者魂こそ、渇き - 映画『渇き。』

拝啓ギャガ様。

これこれ!!!!!こういう邦画が観たかったんだよ!!!!!

敬具

 

今更ながら、2014年公開の『渇き。』を観た。役所広司がクズ親父を演じる一作として宣伝されており、個人的に随分気になってはいたのだが観る機会がなくここまで先延ばし先延ばしに。「元刑事のクズ男が失踪した娘を探してみたらとんだクズ女だった」という筋書き以外はシャットアウトして観てみたら——バイオレンス、エロ、グロ、何でもござれのとんだ映画だった。登場人物の狂気だけでなく、それを演じる役者側の力量にも目を見張るところがある。どうやら公開当時は賛否両論のようだったが(Yahoo!映画は8月20日時点で2.65点)*1、専ら洋画専門のシネフィルと化しかけていた筆者の心をわくわくさせた邦画作品としてレビューしてみたい。

www.youtube.com

 

※ネタバレと思われる記述は白字にしてあります。反転させて読むかは貴方次第です※

*1:Yahoo!映画は、filmarksなどと違いYahoo!IDがあれば誰でも投稿できる手軽さもあってか、普段映画を観ないんだろうなという人のコメントも沢山あるのが特徴。海外の映画祭で高く評価されている作品でも、平気で「よく分からなかった」みたいなコメントが乱発する有様なので、正直筆者はあんまり当てにしていない。しかしながら、その手軽さから「話題作だから観に行った」というライトな層の素直な感想も沢山溢れているので、賛否両論映画のバロメータとしては凄く分かりやすい指標である。つらつら書いたが要するに、2点台半ばというのは賛否両論映画の証拠であって、大絶賛少数+大不評多数というところだろう

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ホロヴィッツは「信頼できない語り手」がお好き - 『メインテーマは殺人』ゲラ読み企画

先日、こんなツイートを目にして、出来心で応募してみた。(実は)ホームジアーナの筆者にとって、アンソニーホロヴィッツと言えばシャーロック・ホームズ財団公認の続編を書いた人物。そう言えば昨年『カササギ殺人事件』も話題になっていたな、と思ってちょっと興味が湧いたのである。

そんなこんなで応募してみたら何と当選。今回全編を読み切ったので、ネタバレない程度にレビューをお送りしたいと思う。

 

あらすじ

ダイアナ・クーパーは自身の葬儀の段取りを申し込みに行き、それから数時間で殺害された。脚本家として働くアンソニーホロヴィッツは、以前のドラマで監修を依頼した元刑事デイヴィッド・ホーソーンに依頼され、顛末を小説に起こすことと引き換えに捜査に巻き込まれることになる。クーパーが依頼した葬儀屋のコーンウォリス、息子デイミアンなどから話を聞くうち、ホーソーンらはクーパーが10年前に交通事故を起こしていたことを知る……

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